研究課題/領域番号 |
20K02191
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
崎坂 香屋子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00376419)
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研究分担者 |
吉田 穂波 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (20626113)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 災害公営住宅 / 被災者 / ソーシャル・キャピタル / 健康 / 災害弱者 / こころの健康 / 孤独死 |
研究実績の概要 |
東日本大震災は約16000人の命を奪い、10年たった現在も行方不明者約2500名を数える我が国でも未曽有の大規模災害である。本研究は2020年度は岩手県での10年間の被災者の追跡に加え、3県で10年間被災地で実施された被災者のための「アウトリーチ型料理教室」評価事業を軸に復興ステージ別の独居高齢者や災害弱者への効果を測定した。コロナ感染症拡大で調査へ影響は受けたが郵送やオンラインインタビューを用いて参加者調査272名、現地パートナー団体157名、コア参加者・団体代表への対面個別ロングインタビュー30名を実施し、参加者では行動変容までは至らなかったが意識変容とコミュニティの人間関係づくり、地域の繋がりづくりの醸成に寄与していた事を明らかにした。特にポアソン回帰を用いて孤食がちの被災者に教理教室がこころの健康改善や地域活動への参加促進に役立っていたことも明らかにし、上記内容の論文は査読付き英文ジャーナル(Impact Factor:2.849)に発表済みである(2020年11月)。また10年続けた岩手県の被災者追跡調査は書籍として出版され(2020年12月)、和文の福祉雑誌にも調査結果を発表した(「地域ケアリング」2020年5月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2020年度は本研究の他に東日本大震災被災3県における被災者支援、被災コミュニティに対する料理教室という長期介入事業の効果測定・評価事業の受託研究を引き受けたこともあり、相乗効果で本研究におけるコロナ感染症の影響を最小限に抑えることに成功した。被災3県に滞在する研究者と連携し3県の18地区で調査を行う事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の調査結果を更に詳細に分析を進める。避難所から仮設住宅、その後の災害公営住宅あるいは自宅再建後の人々の復興フェーズ別の身体と心の健康の改善のためにどのような介入が効果的か、新たな生活環境と新しいコミュニティづくりで被災者にはどんな負荷がかかるのか、また異なる条件の異なる地域で有効なのかを明らかにする。特に2020年度の結果からは避難民と受け入れ先コミュニティが「同じ住民になる」ことの困難さが指摘された。協働作業のある料理教室の介入は有効であったが地方行政と渡り合える地域のリーダーの有無が介入事業の継続、被災コミュニティの自立には必須であることも実証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症拡大の為に東京から移動しての東北3県の調査地における調査がまったく不可能となり旅費が予算額を大きく下回った為
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