研究課題/領域番号 |
20K02191
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
崎坂 香屋子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00376419)
|
研究分担者 |
吉田 穂波 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (20626113)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 東日本大震災 / 孤立 / 被災者 / ソーシャル・キャピタル / 健康 / 災害弱者 / 災害公営住宅 / 孤独死 |
研究実績の概要 |
2021年度は本研究もコロナ感染症の拡大継続により大きな影響を受けたが被災地在住の研究協力者により現地調査他全て計画通り順調に進んだ。研究計画に示した3つのフェーズ別調査の進捗、成果は以下の通り。 調査1:東日本大震災の災害弱者の避難フェーズ別介入のレビューと教訓の抽出 2011-2020に岩手県陸前高田市の全仮設住宅の住民を対象として生活、環境の変化と被災者である仮設住宅の住民の追跡調査を続けた。その総括結果を「仮設住宅その10年」という書籍に纏め出版、2021年度「日本不動産学会学会賞」都市住宅学会「最優秀著作賞」を受賞した。調査2:「被災者は避難所で雑魚寝」を他先進国なみに改善する提言を纏める。 分担研究者による「母子避難所の設置」介入事業は2021年には評価調査が実施され報告書が纏められた。自治体のやる気、妊産婦、乳幼児保護救援に関しては特に女子大学との連携、女子学生への研修実施を通じ、女性同士による支援が効果的であった。今後は東京都から近隣の自治体での普及拡大に取り組む。 調査3:災害公営住宅での「閉じこもり」「孤立化」低減のための効果的介入の解明と住民の生活環境・健康の変化に関する住民調査、については研究代表が2011-2020年に被災3県(岩手・宮城・福島)で被災者の参加約6万人に上る味の素グループ主催のアウトリーチ型料理教室「ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」との連携し終了時評価を担当した。その結果、定期的な料理教室開催が高齢被災者の外出機会創出と被災地の復興に効果を上げていた。特に、男性だけの「男の料理教室」が高齢男性独居被災者の孤立を防いでいた。更に原発事故被害を受けた福島県では避難している被災者では特に復興感が低いこと、避難者同士の絆継続に料理教室参加が役立っていたことが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は新型コロナ感染症の拡大、蔓延によるフィールドサイトへの訪問、調査実施、ヒアリングが困難となり、一時的に停滞しました。しかし福島県、宮城県仙台市をベースとして活動している研究協力者の尽力により、岩手、宮城、福島の被災者のインタビュー、および質問票調査が実施できました。また震災発災後10年にわたって実施された独居高齢者を含む被災地域を対象とした料理教室という介入の効果測定もこれら被災地に居住する研究者の努力により実施でき論文化、国内での学会発表、オンラインでの国際学会での発表も行う事がでおおむね当初の計画通りに進んでいます。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の引き続きの蔓延、および全国レベルでの感染拡大が続いているため、当初の予定通りの調査フィールドへの長期滞在や頻繁な訪問が難しい状態は続いています。しかし東日本大震災の被災3県に居住する研究協力者との連携協力、および活用を行う事により研究自体は当初予定のどおりに進められる目途がたっています。また英文論文の発表も、被災3県の自治体から提供された災害関連死のデータも集まり、peer review journalに2本投稿、すでに掲載済みとなっています。最終年も被災3県に居住する研究者の協力を得ながら当初予定通りに進める予定です。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症拡大による現地調査実施の一部延期等による
|