研究課題/領域番号 |
20K02191
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研究機関 | 開智国際大学 |
研究代表者 |
崎坂 香屋子 開智国際大学, 国際教養学部, 教授 (00376419)
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研究分担者 |
吉田 穂波 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (20626113)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 陸前高田市 / 災害関連死 / 被災者 / 社会的弱者 / 避難所 / 復興住宅 / 復興格差 |
研究実績の概要 |
本研究ではこれまでに3本の英文でInternational Peer review journalでのoriginal articleを出版し和文論文は5本専門誌への掲載となっている。 また分担執筆の著作「仮設住宅その10年」(お茶の水書房)を2020年12月に出版したが、2つの学会から2021年度の学会賞を2つ受賞した。国際学会での発表は東日本大震災の被災者の支援のための料理教室の効果を学術的に測定した4本、また国内学会では筆頭発表者、共同発表者を含め11本に上る。
さらに新型コロナ感染症の蔓延でヒアリングや現地調査が不可能となったため本研究期間を2年延長することとなったが、その延長期間である2024年1月に石川県を中心とする津波を伴う大規模災害となった2024年能登半島地震が発災した。能登半島地震は耐震強化されていない1981年以前の建造物や追加耐震補強がなされていない家屋が多く多数の家屋が全半壊した。被災者も後期を含め高齢者が多数を占めていた。その一方でコミュニティのつながりは強く、近隣のコミュニティごとに集まって避難した地域も多い。本報告を記している2024年5月上旬において能登地震で発災後4か月を経ても指定避難所等で避難生活を送っている人は4000人を超えている。家屋の公費解体は申請数の1%を終了したに過ぎない。本研究が延長期間の本年度の1年に明らかにすべき課題は急増している。
そのため本研究では2024年の能登地震での現地調査、避難所支援を通じ、能登地震の避難者調査を追加することとした。半島ゆえのアクセルの困難さ、インフラの破壊、耐震補強していない多数の家屋の倒壊、後期高齢者の被災者の多さ、更に古きコミュニティの繋がりの強さを知り、東日本大震災との共通点および知見の共有の重要性を理解し、本研究に追加する意義があると考えた。追加研究期間の2024年に入ってからもすでに能登地震に関する研究報告を2本専門誌に掲載済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年5月の新型コロナウイルスの5類移行まではコロナ感染症蔓延が調査研究、対面でのヒアリング等に大きな影響を与えた。その後対面でのヒアリングな現地調査を再開することができその後は順調に調査や報告が進んでいる。特に再開後はコロナ感染症蔓延の間はできなかった障がい者などの災害弱者へのヒアリングが開始できたことは大きな進展となった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月の新型コロナ感染症の5類移行からは特に対面インタビューに支障があった障がいのある方、高齢者を再開し、研究が順調に進み始めた。そのような中、2024年1月奥能登を中心とする津波を伴う大規模災害である能登地震が発災した。本調査研究のテーマと重複するところも多数あり、研究者は能登地震の現場に赴き、類似性から東日本大震災との比較を試みること、あらたな大規模災害直後の避難生活の課題などを本研究に追加することとした。能登地震ではとくに水道、道路などのインフラ破壊と耐震補強がなされていない家屋がが多数被災した事、被災地へのアクセスが非常に限られたこと、後期高齢者が多数被災していることなどを追加重要課題としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延とフィールドベースの研究が可能となる5類移行が2023年5月であったことから調査実施を延期せざるをえなくなった項目があり次年度使用額が生じた。そうした中で予想外に2024年1月1日に津波を伴う大規模震災である能登地震が発災した。そこため本研究課題である大規模災害における災害弱者も多数新たに発生したため令和6年能登半島地震の被災者も本研究の調査対象に追加することとし、2024年2月~から能登半島に入り避難所等での支援と聞き取りを開始している。その新たな調査課題に係る交通費、宿泊、聞き取り謝金等を新たな支出項目に含めたい。
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