研究課題/領域番号 |
20K02194
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
金子 充 明治学院大学, 社会学部, 教授 (30366950)
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研究分担者 |
川本 健太郎 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (80580662)
関水 徹平 立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (40547634)
柴田 学 関西学院大学, 人間福祉学部, 講師 (20580666)
直島 克樹 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (70515832)
橋川 健祐 金城学院大学, 人間科学部, 准教授 (40632691)
竹内 友章 東海大学, 健康学部, 助教 (60755825)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 貧困 / 生活保障 / 社会的企業 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、本年度も新型コロナウイルス感染拡大を受け、当初予定していた過疎地域における参加型アクションリサーチ、および対面による研究会を一度も開催することができず、研究計画は大幅に遅れた。しかしオンラインによる研究会を通したインタビュー調査、ウェッブサイト情報による貧困層の状況把握(海外を含む)、理論的な考察を中心とした基礎研究を進めることができた。 研究実績は研究代表者・分担者がそれぞれ論文や学会発表として報告する形となったが、以下の3つに整理することができる。 第一に、本研究の研究対象である若年貧困層の生活とコミュニティの現状について理解を深め、その対応策となる社会政策・地域福祉政策の思想および展望を検討した。参照軸としてイギリスの貧困層の状況と政策展開を確認し、「社会的投資論」と「資産ベース福祉」による社会福祉政策の動向と課題を考察した。投資や資産形成という考え方に基礎づけられた貧困対策を進めることによって、互酬もしくは権利(市民権)ベースよりも市場原理による政策効果への期待が高まることの危険性について考察することができた。これらの議論の成果は複数の論文としてまとめた。 第二に、昨年度に引き続き、本研究対象である貧困層等に対して地域を基礎にした協働的・連携的な「グッド・プラクティス」を展開する実践家および団体に対して、対面およびオンラインによるヒアリング調査と意見交換をおこなった。成果は『月刊福祉』誌上で連載報告したほか、学会報告をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続き、今年度も新型コロナウイルス感染拡大を受け、当初予定していた過疎地域における参加型アクションリサーチをおこなうことができず、また対面による研究会を開催することもできず、研究計画は大幅に遅れた。そこでオンラインによる研究会を複数回実施し、コロナ禍での生活困窮者の現状把握、および理論的な考察とディスカッションによる基礎研究を進めた。 第1回研究会(2021年5月13日)では、研究分担者・関水徹平より「社会的投資」概念について理論的考察の報告があり、議論を深めた。 第2回研究会(2021年7月29日)では、研究分担者・竹内友章より「社会起業・社会的企業」概念について理論的考察の報告があり、議論を深めた。 第3回研究会(2021年10月7日)では、自治体職員として福祉行政に携わっているソーシャルワーカー・梶原秀晃氏に対するヒアリング調査(オンラインによる)を実施した。生活困窮者自立支援制度の運用を例として、市民・当事者参加による地域福祉の実施というよりも中央政府の管理統制・規制が強化されている現状、および自治体の自律性・分権性を保つためのマネジメントと社会的企業の積極活用(公共調達、社会的調達)の意義について議論と考察をおこなった。 第4回研究会(2021年12月22日)では、本研究計画として当初予定していた過疎地域による参加型アクションリサーチの今後の実施可能性(困難性)について話し合った。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が継続していることをふまえ、オンラインによるヒアリング調査と意見交換(研究者および「グッド・プラクティス」の実践家・団体)、理論研究と研究会によるディスカッション等を実施しつつ、ベーシックインカムを含む生活保障制度の研究、および海外の社会的企業論・社会的投資論を基礎にした先駆的な実践をモデル化して説明ができるよう研究を進めていくこととする。 当初予定していた研究内容・研究計画を修正し、過疎地域(離島)を参照点とした国内における社会政策・地域福祉政策(制度運用)の課題を把握しつつ、対抗軸として理論的考察にもとづく生活保障およびコミュニティワークの実践モデルを提示していくことを新たな研究の柱にしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス対応により、当初予定していた過疎地域における参加型アクションリサーチによる調査研究が2年間連続して実施できていない。現地調査研究をおこなう予定であった沖縄県宮古島市内において、NPO法人、支援者、参加する地域住民らと関係を構築してきたが、沖縄県内の感染状況を鑑みて、訪問調査の時期を先延ばしにしてきた。さらに次年度に研究期間を延ばすことも視野に入れている。 次年度の研究費の主な使途は、理論研究のための図書資料費、オンライン研究会のためのコンピュータ機材の調達、関東もしくは関西での対面による研究会をおこなうための旅費が基本となる。
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