• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

性加害行為があった知的障害者へのグッドウェイモデル適用からみる地域生活継続要因

研究課題

研究課題/領域番号 20K02198
研究機関日本福祉大学

研究代表者

山崎 康一郎  日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (30635868)

研究分担者 森久 智江  立命館大学, 法学部, 教授 (40507969)
水藤 昌彦  山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (40610407)
我藤 諭  龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90808263)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード認知行動療法 / 知的障害 / 性加害行為
研究実績の概要

性加害行為に対する包括的な治療教育プログラムであるグッドウェイモデル(GWM)を参考に、2020年度~2022年度にかけて、研究協力施設において非行・犯罪行為の背景要因となる対人関係の課題に働きかけるための心理プログラムを作成し、年間通じて月に2回程度、安全に実施できる体制が整備された。2023年度は心理プログラムを継続的に実施し、改良を加えて精緻化を行うとともに、効果や成果に関して、実施者へのインタビュー調査を行っている。GWMは非行・犯罪行為に特化したものではなく、より広い対象に実施できるものであり、また、心理プログラムは、反社会的行為に加え、過去に逆境体験のあった知的障害・発達障害者を対象として作成してきたため、反社会的行為のない対象者への適用が可能である。そこで、児童養護施設において、対人関係に困難を抱える児童への支援としての活用を検討し、研究協力施設を募集し、試行的に1年間、実施した。支援や対象児童への影響について、実施者への調査を行っている。
また、これまで延期されてきたGWMに関するニュージーランドの現地調査を実施した。知的障害、発達障害者への司法領域における支援方法や、権利擁護の仕組みについて調査した。また、開発者とのミーティングにおいて、GWMの具体的な実践方法について事例を交えながら聞き取りを行った。GWMはトラウマインフォームドケアや認知行動療法、ナラティブセラピー、グッドライフモデルの要素を包含しており、反社会的行為のみならず、トラウマ体験のある被害者等の広範な対象者に対して実施できること、対象者に応じて柔軟な対応が可能であること、肯定的な関係づくりの具体的方法等、支援実践に関する知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

グッドウェイモデル(GWM)を導入するために、プログラム実施方法や社会制度的な背景状況に関して、ニュージーランドへの現地調査を研究期間の前半に実施予定であったが、当初の最終年度であった2023年度にようやく実施に至った。また、GWMの実施にあたり、反社会的行為のあった知的障害者等への支援者を対象とした研修を行う予定であったが、実施できていない。研修については、現地調査の際に開発者であるLesley Ayland 、Bill Westへの依頼を行っており、研究期間の延長により、2024年度に、入門的な内容の研修を開催するべく現在、準備を行っている。
一方、GWMの要素を取り入れ、対人関係構築に向けたプログラムについては、反社会的行為及び逆境体験のあった知的障害・発達障害者を対象として実施しており、実践を通じてまとまった形のプログラムとなってきている。さらに、対象を虐待等のトラウマ体験のある児童に拡大して試行的な導入を開始している。

今後の研究の推進方策

グッドウェイモデル(GWM)の安全で効果的な導入のための実践研究について継続して実施する。2023年度はGWMの要素を取り入れた対人関係構築支援のための心理プログラムを継続的に実施し、対象者の特性や目的に応じた内容や方法の改良を行った。また、心理プログラムを体系化し、対象者を拡大して実施できるものとするための修正を行うとともに、児童福祉施設において試行的な実施を行った。2024年度はこれを継続的に実施しながら、多様な対象者への対人関係構築支援の心理プログラムを作成していく。
また、GWMに関して、福祉の支援者等を対象とした研修を計画している。2023年度の現地調査の際に、開発者へ依頼を行っており、2024年度中の開催に向けて準備を進めていく。
2024年度が最終年度となることから、これまでの実践研究の成果をまとめ、反社会的行為や逆境体験がある知的障害・発達障害者を対象とした対人関係構築支援の方法を提示する予定である。

次年度使用額が生じた理由

グッドウェイモデル(GWM)に関する開発者による研修が延期となっており、研究期間を1年延長した。2024年度に、開発者による研修を開催する予定であり、研究費の主な使途は、研修会に係る費用となる。講師や通訳者への謝金、会場費等が必要である。また、GWMの要素を取り入れた対人関係構築の支援実践に関する影響や効果を検証するための調査を継続して行うため、調査およびデータ分析のための旅費・人件費が必要となる。さらに、最終年度であるため成果物の作成、配布に係る費用が必要となる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 生活支援を基盤とした認知行動療法による関係性構築支援に関する質的研究―反社会的行為のあった知的障害者等と支援者の相互関係の変化に着目した取り組みから―2023

    • 著者名/発表者名
      山﨑康一郎、我藤諭、水藤昌彦、佐々木茜
    • 雑誌名

      司法福祉学研究

      巻: 23 ページ: 71-89

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi