研究課題/領域番号 |
20K02200
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
朴 光駿 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (30351307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東アジア / 就労型貧困政策 / 中国の扶貧政策 / 比較研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、2000年代から著しくなっている「就労型貧困政策」に関する東アジア(日本・中国・韓国)比較研究である。研究初年度である2020年度は韓国と中国の研究協力者との打ち合わせおよび関係者に対する聞き取り調査、研究協力機関である中国社会科学院と韓国保健社会研究院との打ち合わせを通して訪問調査地域を決めることを研究目標であった。しかし、コロナの影響で海外出張ができなくなり、研究初年度は海外研究協力者とはZoomなどによる協議を行いながら、主に「中国の扶貧政策」に関する文献収集と分析を行った。 中国の扶貧政策は開発型貧困政策と呼ばれるが、1986年から始まり、2000年からは「総合的扶貧政策」、2013年からは「精准政策」が展開されてきた。2020年度は主に2000年以降の扶貧政策に関する重要な政府文書を収集し、分析した。内容の検討・分析を行った中国政府の主な関連文書は次の通りである。 「中国農村扶貧開発第一次計画」(2001~2010)、「中国農村扶貧開発第二次計画」(2010~2020)、『農村扶貧事業に関する第二次白書』(2011)、「第13次5ヵ年計画による4つの全面的施行の内容=全面的な小康社会建設の完成・全面的な改革深化・全面的法治国家の推進・全面的な党規党則の厳格化」などである。また、2012年中国共産党第18回全国で示された「共産党創立100周年になる2021年までの貧困脱出の目標」の検討も行われた。 以上の政府重要文書分析を通して、2013年以降展開されてきた精准扶貧政策が、既存の扶貧政策の基調をともにしながら、貧困脱出の困難な人口層の脱貧困を目標としたより精巧な貧困政策であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響で、中国と韓国への出張ができなくなり、研究の本格的実施が困難になった。ただ、とくに中国扶貧政策に関する重要な政府文書の入手に力を入れ、その解読と分析を行うことに研究の重点を置いたので、当初の研究目標には及ばないものの多少の進捗はあった。
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今後の研究の推進方策 |
出来る限り早い時期に中国と韓国を訪問し、中国社会科学院と韓国保健社会研究院と協議を行い、就労型貧困政策の基本方針を確認し、訪問調査地域を確定することが課題である。当面の間は、対面協議を行うことが難しいので、Zoomなどを利用し、少なくとも中国・韓国政府の政策基調を確認し、各地方で行われている就労支援政策の事例に関する資料を収集していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が日本・中国・韓国の就労支援政策の比較研究であるため、多くの研究費が出張および調査費用に計上されているが、2020年度のばあい、海外出張は全面的に中止されたので、その分次年度使用額が発生している。2020年度の支出は主に文献収集費である。 コロナの状況を見極めながら、もし海外出張が可能になれば、中国・韓国出張期間をそれぞれ4・5日増やすか、出張回数を増やし、聞き取り調査対象や訪問調査地域の選定のあと、第一回の聞き取り調査と訪問調査が実行できるように努める。そのため、次年度使用額を2021年度助成金をあわせて執行する。
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