研究課題/領域番号 |
20K02213
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
永井 順子 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00386559)
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研究分担者 |
橋本 菊次郎 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (30433460)
福冨 律 東京家政大学, 人文学部, 講師 (60468840)
松浦 智和 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90530113)
今西 良輔 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 講師 (60746478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 精神保健ソーシャルワーク / 北海道 / 精神保健ソーシャルワークのアイデンティティ |
研究実績の概要 |
本研究では、北海道の各地(函館、西胆振、東胆振、札幌、旭川、名寄、稚内、釧路、帯広)の精神保健ソーシャルワーク(以下、精神保健SW)の歴史的展開過程をその地の精神科医療、精神保健の体制や産業などの各種要因との関係から整理し、類型化することにより、①ソーシャルワーカーが自らの置かれた環境において効果的に精神保健SWを展開するために必要な条件、及び②各地の精神保健SWの展開過程に共通する精神保健SWのアイデンティティを明らかにすることを目的としている。 2021年度は各地の精神保健医療福祉の歴史を再整理し、北海道においては1.公的医療機関の精神科を中心に広域の患者に医療を提供、2.病院と保健所が連携した社会復帰活動が比較的早期から展開、3.当事者とともに社会資源を開拓という3つの特徴が見出されることを再確認した。その上で、各地の精神保健SWの展開の土壌となったものを検討した。また、精神保健SWのアイデンティティの検討のために、全国の精神保健SWの歴史の検討も行った。その過程で、日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会(現・日本精神保健福祉士協会)の第1回大会で特別講演を行った岡田靖雄先生(精神科医、精神科医療史研究者)を招き、日本の優生施策のほか、1960年代頃の精神科ソーシャルワーカーの動向を学ぶ研究会を開催できた。また、札幌市内のソーシャルワーカーにインタビュー調査を実施し、札幌市内近郊の動向と北海道精神保健福祉士協会の活動の概要について確認することができた。さらに、本研究の分析枠組みを明確にするために、北海道内でも精神保健SWの展開が顕著な浦河町におけるソーシャルワーカーの活動とアイデンティティを向谷地生良氏ほかにインタビュー調査した。その結果、地域の特性(住民間の関係性、職業、所得、社会資源など)と精神保健SWとの関連について再認識することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウィルス感染症の影響下、現地調査やインタビュー調査をほとんど行うことができず、また、学会等の機会に現地で情報交換を行う機会がなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の整理をもとに、本研究の目的①にある「必要な条件」を抽出する観点から精神保健SWの展開過程の類型化を行う。また、各地の精神保健SWの展開過程に共通する精神保健SWのアイデンティティについて、地域の特性(住民間の関係性、職業、所得、社会資源など)と精神保健SWとの関連をふまえた仮説を立てつつ、各地のソーシャルワーカーに再度インタビューすることにより検証する。 3年間の研究の最終年度であるため、北海道の精神保健SWを代表するような人物3名を招いてシンポジウムを開催し、研究の総括とするとともに、精神保健福祉領域の現場のソーシャルワーカーとの共有の機会とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症の流行下、現地調査やインタビュー調査がほとんどできず、また、学会発表出張もなかったため、旅費と謝金の支出が予定額よりも大幅に少なかった。2022年度は、不足している現地調査やインタビュー調査を実施し、学会発表も行うが、学会については今般オンライン開催が大半であり、当初予定していたよりも旅費の支出は少なくなることが予想される。その分について、研究成果の普及のため、北海道の精神保健ソーシャルワークの歴史をまとめた冊子を作製し、研究者や現場のソーシャルワーカーに配布する。
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