研究課題/領域番号 |
20K02220
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金子 絵里乃 日本大学, 文理学部, 教授 (40409339)
|
研究分担者 |
佐藤 繭美 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (90407057)
澤田 有希子 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (60425098)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | グリーフケア / ソーシャルワーカー / ソーシャルワーク / 緩和ケア / がん患者の家族 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①医療機関のソーシャルワーカーが、がん患者の家族に対してどのようなグリーフケアを行っているか、②がん患者の家族に対するグリーフケアとして、医療機関のソーシャルワーカーが担う必要があると考えている援助とは何か、③医療機関のソーシャルワーカーが、グリーフケアに関してどのような教育や研修を受けているか、また、どのような教育や研修を求めているかを明らかにすることである。
今年度は、先行研究レビューを中心に行った。上記を遂行するために、今年度の補助金は、主にPCおよび文献の購入に充てた。購入した文献の中でも、Oxford Textbook of Palliative Social WorkとHandbook of Oncology Social Workに先駆的な研究成果が多数掲載されていることから、この2冊を研究会のメイン文献とした。年に研究会を4回開催し、研究メンバー3名で文献の知見を共有し、ディスカッションを行った。
そこで明らかになったことは、医療機関のソーシャルワーカーによる、がん患者とその家族へのグリーフケアにおいてキーワードとなるのが、意思決定支援、代弁、危機介入、リスクアセスメント、スクリーニング、病名告知、カウンセリング、ソーシャルペインへの働きかけ、在宅緩和ケアであり、これらを次年度に行うインタビュー調査やデータ分析の参考にしたいと考えている。また、がん患者とその家族へのグリーフケアと言っても、患者の世代によって大きな違いがあることから、世代別(10~30代→40~50代→60代以降)にデータを分析することを検討した。さらに、新型コロナウィルスの影響によって、ソーシャルワーカーが行っているグリーフケアが変化している可能性が考えられるため、新たなインタビュー項目として、新型コロナウィルスの感染拡大以降のグリーフケアの変容を追加することを検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
① 研究計画では、多数の洋書文献を年度始まりに入手し、研究メンバーがそれぞれ文献を読解し、研究会でその内容を共有・ディスカッションする予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大によって、メインで使用する洋書が半年以上遅れて届いたため、当初予定していた先行研究のレビューが遅れている状況である。 ② 上記の文献が届くまでの間に、国内外の論文や図書などの文献を収集した。また、文献が届いてから、重要な箇所を中心に読んで整理し、研究会を開催して内容を報告し合った。今年度の研究会でディスカッションした内容を次年度に行うインタビュー調査やデータ分析に活かしたいと考えている。 ③ 次年度に実施する予定のインタビュー調査に向けて、研究代表者が所属する大学の研究倫理委員会に提出する書類の作成などを行った。上記の書類として、「研究倫理審査申請書」「研究協力者各位への説明書」、「協力同意書」、「インタビューの質問項目」を作成し、年度末に研究倫理委員会に提出した。審査は、次年度に行われる予定である。 ④ 本研究の研究協力者である医療機関のソーシャルワーカー3名に、改めて研究協力の依頼を行い、研究の概要等について説明し、協力に承諾をしていただいた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、がん患者やその家族へグリーフケアを行っている医療機関のソーシャルワーカー20名に約90分間のインタビュー調査をZoomを用いて実施する予定である。上記に該当するソーシャルワーカーを研究協力者にご紹介していただき、質問項目に沿ってインタビュー調査を実施する。新型コロナウィルスによる状況を見て、調査協力者と相談しながら対面でのインタビューも可能であれば実施することを考えている。 研究倫理委員会および教授会において、調査実施の承認が得られたのち、下記のプロセスに沿って準備を進め、インタビュー調査を実施する予定である。①調査協力者に、「研究協力者各位への説明書」および「協力同意書」を郵送し、研究の目的や方法、調査協力者の個人情報の保護などを事前にご確認いただく、②インタビュー当日にインタビュアー(研究代表者もしくは研究分担者)が口頭で「研究協力者各位への説明書」および「協力同意書」の内容を説明し、研究の概要等について再度ご確認していただく、③調査協力者から研究への協力について同意が得られた後、同意書に署名をしていただき、インタビューを開始する、④署名していただいた同意書は、後日、研究代表者の研究室に返送していただく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大によって、当初予定していた研究会の開催が、対面からzoomに変更したため、国内旅費が未使用になったことにより、次年度使用額が生じた。次年度は、コロナの状況をみながら、可能であれば対面での研究会やインタビューの実施を予定している。
|