研究課題/領域番号 |
20K02230
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研究機関 | 国立社会保障・人口問題研究所 |
研究代表者 |
泉田 信行 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 部長 (70360716)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地域共生社会 / 公的給付 / 生活支援 / 地域生活継続 / 因果関係 / 自治体 |
研究実績の概要 |
本研究の背景として、地域での生活が継続されるためには公的給付の対象のみならず生活支援ニーズの充足も必要であるにもかかわらず、学術的には公的給付ニーズの分析は制度ごとに行われ、かつ、生活支援ニーズの情報と連結されずに行われているのが一般的な現状であることがある。 そこで、本研究では1)長期縦断データとして公的給付の受給状況にかかる基礎的事実の把握、2)公的給付の受給の有無別に生活支援ニーズの状況に差異があるか否か、3)公的給付の開始をきっかけに生活支援ニーズが増大するのか否か、生活支援ニーズの増大している者が公的給付の受給を開始するのか、という公的給付と給付対象とならない生活支援ニーズの関連性・因果性を明らかにすることを目的とする。 そのため、特定の自治体から医療・介護給付、障害給付、経済的給付等の公的給付にかかるデータと介護保険事業計画を策定するための調査データを匿名化IDで連結可能な形で提供を受けてデータベースを構築する。 今年度は分析の準備として、所属機関の倫理規定を遵守しつつ、ある自治体とデータ締結にかかる覚書を締結し、匿名化された当該自治体の介護ニーズ調査(第8期分)の関連データ等の提供を受け、まず要介護認定を受けている個人の割合について把握した。約2000人の調査対象者のうち要支援・要介護の状態にある者は5%に満たないと考えられ、かつ必ずしも回答していない可能性を踏まえると前向きの形でデータを蓄積するだけで無く、過去のニーズ調査(第7期、第6期など)の調査票と関連させていく必要があると考えられた。 この他、生活支援に係る現状について、非営利組織の果たしている役割なども含めた、文献検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の蔓延により、年度当初において、テレワークでの研究等業務の推進を行う体制構築にエフォートを要した側面がある。自治体とのデータ提供についての打ち合わせ等についてもその影響があった。影響は残る部分があるとは考えられるものの、対処の方法が確立されてきており、この点の影響は今後解消すると見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の準備作業を踏まえ、過去のニーズ調査データについて可能なものがあれば、入手し、構築するデータベースに加えることを進める。これにより、分析対象であるデータベースにおける公的給付の利用者(特に介護保険サービス)のサンプルサイズの拡大を秤、分析精度が向上されたデータベースの構築となるように努める。 新型コロナ感染症の蔓延による研究の進捗の遅れはあるものの、今後はその影響は無くなると考えられるため、遅れを取り戻すべく研究の進捗を早め、当初の研究計画に沿って学会報告等を実施していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の次年度使用額が生じたが、次年度の研究計画の遂行に影響を及ぼさずに使用する予定である。
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