研究課題/領域番号 |
20K02235
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小澤 永治 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60631273)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 一時保護 / 児童養護施設 / 児童相談所 / 社会的養護 / 児童虐待 / 心理アセスメント / ショートステイ |
研究実績の概要 |
我が国において,児童虐待等の困難な状況から子どもを緊急・一時的に保護するための「一時保護」制度には,子どもの権利保障等の側面において課題が大きく,様々な問題が生じやすい環境にあることが指摘されている。一時保護制度の改革においては,児童相談所に付設された一時保護所から,開放空間である児童養護施設等での委託一時保護を増加させる方針で大きな改革が進められている。本研究では,新たな取り組みである委託一時保護において,子どもの権利保障と一時保護に求められる機能を両立するために必要なアセスメント・ケア実践を明らかにすることを目的としている。本年度は,昨年度新型コロナウイルス感染症の影響で実施が停滞していた協力児童養護施設内でのフィールドワークを進めるとともに,心理療法担当職員に期待される機能についての情報収集を行った。また,生活担当職員に対する研修活動を実施しながら,子育て短期支援事業(ショートステイ事業)の研究成果も考慮に入れつつ,入所児童に対する養育と,委託一時保護児童に対する養育における留意点の差異について検討を行った。研究成果の一部は,職員のアタッチメントに対する理解と実践の検討という側面から分析を行い,2022年に開催される17th European Congress of Psychologyにおいてアブストラクト採択済みとなり,発表を予定している。次年度,更に委託一時保護におけるアセスメント・ケアの検討点の明確化を行い,現場にフィードバック可能な成果のまとめを目指し,職員へのインタビュー等感染症対策を万全に行いつつ研究計画を遂行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果の一部は次年度の国際学会発表に向けて公表段階に進めることができたが,新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で,施設内でのフィールドワークの実施に引き続き遅れが生じている。次年度以降,インタビュー調査を含めて感染症対策に留意しながら研究計画を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
協力施設でのフィールドワークを進め,職員を対象としたインタビュー調査を実施する。インタビューや研修活動を通した生活職員および心理職に求められる児童理解と支援の知見に関するまとめと課題を作成する。また,研究期間において委託一時保護から施設入所となった児童,通常の一時保護から施設入所となった児童など,児童の入所経緯等による特徴や求められる支援について情報収集し整理を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定額はほぼ執行したが,新型コロナウイルス感染症の影響で執行額が減少した2020年度分の額が次年度使用額となった。来年度は国際学会発表等も予定しており,順次残額を執行していく予定である。
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