研究実績の概要 |
今年度の計画は、①「刑の一部執行猶予者」の動向について文献調査を進める、②「刑の一部執行猶予」を受けた対象を支援している機関の援助者へのインタビュー調査についてはコロナ禍のため実施できなかった。 ①の計画である文献調査は順調に進められた。覚醒剤取締法違反による刑の一部執行猶予者の推移をみると平成29年は208名、平成30年は862名、令和元年は1,310名と毎年増加していた。また、令和元年の覚醒剤取締法違反「刑の一部執行猶予者」353名の保護観察終了は142名(40.2%)、覚醒剤取締法違反「刑の一部執行猶予者」の執行猶予取消は196名(55.5%)あり、覚醒剤取締法違反「刑の一部執行猶予者」の執行猶予取消その他15名(4.2%)の計211名(59.7%)の不良措置であった。令和2年の覚醒剤取締法違反「刑の一部執行猶予者」1,369名と増加した。令和2年の覚醒剤取締法違反「刑の一部執行猶予者」1,243名のうち保護観察終了は623名(50.1%)、覚醒剤取締法違反「刑の一部執行猶予者」の執行猶予取消は321名(25.8%)あり、他299名(24%)は刑の継続者であるが、他の罪刑に比して期間満了を迎えた者の割合は高いと言えない。覚醒剤取締法違反者の再犯率は平成27年ころより6割を超えており、刑の一部執行猶予者の覚醒剤取締法違反による再犯率も高い状況であるが、同法が施行されて間もないため、深く考察はできない。しかし、覚醒剤の使用者は犯罪であるとともに依存症という病気の視点からの治療継続を含む社会内での処遇が実践され社会復帰している薬物依存症者もいる。今後、文献調査とともにコロナ禍が収束したのちに、社会内処遇によって再犯なく生活できている人への支援の実態をインタビュー調査で進めていく。
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