研究課題/領域番号 |
20K02252
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
田中 和彦 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (10440801)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク / アディクション / アディクションからの回復 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの影響により計画通り調査できない状況が続いた。そのためにまず、先行研究のレビューを踏まえてソーシャルワークがアディクションとどう向き合うかということについての理論研究を深めていった。 特にアディクションからの回復とは何か、ということについて先行研究からの知見を踏まえていくことにより、ソーシャルワークがアディクションの回復をどうとらえるべきかを深めていき理論化していくことに取り組んだ。その結果、単に「アディクションが止まること(やめること)」を回復としてとらえるのではなく、その行動にどのような意味があるのか、ということを捉えていくと、それはその人をしばるさまざまな規範や環境との関係による自己否定的なとらえ方であり、それが生きづらさとなって表れているのではないかと考えた。そこからの解放の意味がアディクションにあるのではないかという仮説を得ている。そうした場合、「アディクションをやめさせる」というような支援は本人の支援拒否を招くことは容易に想像でき、研修プログラムの開発に向けて大きな示唆を得た知見である。 また、取り組んでいる「アセスメントに主眼を置いた事例検討方法」については、量的データを分析中であるが、この事例検討方法についてはさらなる普及のための理論化に取り組むべく文献収集を行った。また、各地での事例検討会にファシリテーターとして参加していくことと、ワークショップを開催することにより、アディクションからの回復支援に携わる医療・福祉専門職とのディスカッションに取り組み、知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、本研究で調査対象としている医療・福祉施設に従事しているソーシャルワーカーに対する対面のインタビュー調査が行えなかった。その代替手段について模索しているが、当初の方法に代わる調査方法が見いだせていない状況にある。 また、学部運営に携わる役職となり研究に対するエフォートが下がっていることも一因である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年であり、今一度研究計画を見直しつつ、できる調査方法を見出して調査を実施していくことが対策である。新型コロナウイルス感染症も5類移行したため、若手ソーシャルワーカーのアディクション支援に関する困難さの調査に着手し、研修プログラムのポイントを探っていく。並行して、エキスパートへのインタビュー調査にも着手し分析していく。量的調査については年度中に調査用紙を完成させられるように取り組む。 さらに現在行っている量的調査の分析を完了させて論文化していく。そのことにより事例検討方法の理論化を行い、ファシリテーター養成研修のプログラム開発に着手する。 学部運営に関する業務が膨大となっていることもあるため、今一度自分自身の業務内容を見直し、研究へのエフォートをあげていくことが課題である。 他分野の研究者や実践者の協力も得つつ、研究を遂行していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が新型コロナウイルス感染症の感染拡大により大幅に遅れており、適切に予算を執行できなかった。 2023年度は最終年であるため、新型コロナウイルス感染症の感染対策も変更してきているため、調査計画をもう一度練り直し、適切に執行できるようにする。
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