研究課題/領域番号 |
20K02262
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
岩本 華子 奈良教育大学, 学校教育講座, 特任准教授 (30588687)
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研究分担者 |
増井 香名子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (30815220)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 婦人相談員 / 市町村 / 女性 / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
本研究は、市配置の婦人相談員による支援実態を明らかにし、市町村におけるDV被害者や困難な状況にある女性への支援のあり方を提示することを目的としている。 2023年度では、前年度に引き続き婦人相談員への個別インタビューを実施した。またDV支援・女性相談支援に寄与する海外知見の調査を引き続き行った。2023年度の主な取り組みを以下に示す。①婦人相談員への個別インタビュー調査の実施、②個別インタビュー調査結果の学会発表、③DVと児童虐待が交差しているケースにおいてDV被害者である親に対する関わり・支援に寄与する海外知見の調査ならびに紹介の継続的実施、④市配置婦人相談員等を対象とした実践研究会(「DV被害者支援と女性相談ブラッシュアップ研究会」)を継続的・定期的に開催し、実践研究の場とするとともに、研究会で本研究の知見について実践者への還元の実施。 市配置の婦人相談員に対する個別インタビュー調査から、婦人相談員が日常的に行っている連携には、課内・庁内・庁外・民間団体という4つの層があること、連携の促進要因には、顔見知りである等の「個人のつながりの駆使」や理解のある上司等といった「属人的要素」という個人的要因、および、窓口が近い等の「物理的距離」や決まった連携ルートがあるという「システムとしての繋がり」、関係する担当者が参加する「共通言語を得る研修機会」というシステム的要因があることが明らかになった。このような連携に関する実態把握は、2024年4月施行の“困難女性支援法” 第6条で明記されている「連携」の質向上を図るためにも重要な知見であるといえ、その一端を提示できたことの意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の状況において個別インタビューの依頼ならびに実施が難しく、昨年度の後半からの実施となった。現在、個別インタビューを進めつつ分析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は最終年度であることから、これまで実施した市配置の婦人相談員に対するフォーカスグループインタビューならびに個別インタビュー調査の分析をもとに論文化を行う。現時点において調査結果から、婦人相談員の専門性の高さならびに配置される市による連携状態の違いが明らかになった。今後は、新法のよりよい運用に向けて「女性相談支援員」に求められる専門性ならびに市でのよりよい連携のあり方の検討・提言につなげたい。また、女性相談支援員等への面接技術も含めた研修の実施により、本研究の成果を実践への還元に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において調査研究が当初計画より遅れて実施されたため次年度使用額が生じた。今年度は、研究発表にかかる経費等、研究遂行のために用いていく予定。
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備考 |
【ライブ配信セミナー 第二弾】DVと子ども虐待が併存するケースにおける児童福祉実践 https://www.dawn-ogef.jp/archives/4072
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