研究課題/領域番号 |
20K02271
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研究機関 | 筑波学院大学 |
研究代表者 |
板井 志郎 筑波学院大学, 経営情報学部, 准教授 (00398934)
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研究分担者 |
下田 篤 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (10633365)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロボットセラピー / レクリエーション / 認知症 / 高齢者福祉 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
認知症対策やQOLを高める観点から,高齢者施設では,レクリエーション活動が重要な役割を果たしている.一方で,介護現場における深刻な人手不足のため,これに介護職員が関与する時間的余裕がない現状もある.そこで,本研究では,研究代表者がこれまでに開発したシーズ技術としての「シナリオ型ロボットレクリエーション」を,介護現場のニーズ調査にマッチングさせることで,「介護サービスの質の向上と介護職員の負担軽減の両立」を実現させることを目指している.本年度は,ニーズ調査の結果を踏まえて,介護職員がロボットに代用してほしいと考える機能(司会進行,場の盛り上げ(笑いを取る))をロボット化(自動化)し,介護職員の働き甲斐である「利用者との関わり」をレクリエーションにおいて増やすことができるシステムの開発に取り組んだ.具体的には,人形ロボットNAO(ソフトバンクロボティクス(株)製)に,「シナリオ型レクリエーションプログラム」のシーン(順番)ごとに,司会進行用の一連のセリフを搭載し,これを,ボタン操作のみで実行可能にした.この際,場を盛り上げる機能として,NAOにおいて,状況に合わせて,ギャグやダジャレなどを話す機能を搭載した.さらに,このような機能を持つロボットが司会進行することで,介護職員と高齢者が同じ参加者として一緒に楽しむことができるレクリエーションを開発し,介護職員の「利用者との関わり」をレクリエーションにおいて増やすことに取り組んだ.あわせて,本レクリエーションの評価手法を確立することを目指して,評価シートの作成,高齢者の会話分析などに取り組んだ.以上により,レクリエーションにおける介護サービスの質の向上と介護職員の負担軽減の両立を図るための介護職員のみで運用可能なロボットレクリエーション運用システムを具現化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,当初計画していた,「シナリオ型ロボットレクリエーション」において,介護サービスの質の向上と介護職員の業務負担を軽減させるための,介護職員のみで運用可能なロボットレクリエーション運用システムの設計・開発を予定通り進めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の収束が見通せないため,今後も,研究者が自由に介護現場に立ち入ることが難しい状況が続くことが予想される.そのため,今後予定されている,「介護職員を対象とした実施マニュアルの作成と研修システムの確立」や「シナリオ型ロボットレクリエーション用システムの実践と評価」の研究に支障をきたす可能性がある.そこで,介護現場におけるロボットやコンピュータを遠隔操作するシステムなどを導入し,研究者が現場のレクリエーション活動をリモートサポートするなどの対応を行い,計画通りに研究を推進できるようにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の状況において,学会発表がオンライン発表となったことや,研究者が介護現場に赴いてロボットレクリエーション活動を実施することができなくなったため,旅費の支出がなくなった.このことに起因して,次年度使用額が生じた.今後,コロナ禍の状況において,開発したシステムを現場で運用していくにあたり,これまでのように研究者が介護現場に立ち入ることが難しくなるため,人件費・謝金が当初予定より増えることが想定される.今後は,これを見越して,当初の研究計画を予定通り遂行するために研究費を執行する.
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