最終年度となる2023年度は「第4ステージ:広域的事業所調査」及び「第5ステージ:効果的なプログラムの提案モデル構築」に取り組んだ。具体的には、障害者雇用に積極的に取り組む企業603社の障害者雇用担当者を対象に質問紙調査を実施し、162社から回答が得られた(回収率26.9%)。うち、精神保健福祉手帳の交付を受けた発達障害者を雇用している、あるいは雇用したことがある企業76社を最終分析対象とした。調査項目は、企業の基本情報、発達障害者の雇用状況、効果的な職場定着支援モデル(以下、効果モデル)への取組み状況(フィデリティ尺度)であった。 まず、それぞれの設問に対して記述統計を算出し、職場定着の状況(アウトカム)と効果モデルのフィデリティ尺度得点(プロセス)の関係について統計分析を行った。その結果、効果モデルの取組み状況(フィデリティ尺度得点)と職場定着状況(アウトカム)との間には正の相関関係にあり、効果モデルに近い取組みを行っている企業ほど、発達障害のある社員の職場定着が促進されている可能性が認められた。 これらの結果をもとに効果モデルの実施マニュアルを作成した。実施マニュアルには、①効果モデルのインパクト理論、②効果モデルのプロセス理論(サービス利用計画・組織計画)、③効果モデルの効果的援助要素、④効果モデルの評価ツール(アウトカム指標・フィデリテ尺度)が掲載されている。 このように作成された実施マニュアルは調査に協力していただいた企業に配布した。
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