研究課題/領域番号 |
20K02277
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小林 理 東海大学, 健康学部, 准教授 (80338764)
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研究分担者 |
岡部 卓 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (40274998)
西村 貴之 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (60533263)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 実態調査 / 連携機関 / 事業の優先度 |
研究実績の概要 |
2年目となる2021年度は、本研究の設計と目的である次の3点について研究作業を実施した。 1)学習支援における相談支援の連動性を含めた現状と課題の把握については、実態把握のため、アンケート調査を実施した。まず、全国の学習支援事業者を対象として調査を実施するために,調査の設計を行うとともに、研究代表者の所属大学において、「人を対象とする研究」に関する倫理委員会に申請を行い、倫理審査を受審し承認を得た(2021年9月)。調査の依頼の方法について、コロナ禍であることを考慮して、オンラインの調査依頼および調査実施として進めた(2021年10月以降)。調査対象は、都道府県と政令指定都市を対象として、所管課へEメール等で相談を行い、事業者へ依頼の転送をいただける場合は調査依頼等一式の転送を依頼し、直接送付する場合は、連絡先情報を取得した。オンライン調査フォームを用いて、調査を実施し協力いただけた事業者より直接回答を得た(2022年3月末まで)。事業者による事業の重み度と、当該地域における学習支援・生活支援のニーズについて、得られた回答より分析を行なっている。 2)各自治体の実施状況と課題の把握については、調査依頼を進めていく中で、電話やEメール等により、所管課と事業者との関係性や事業の委託状況等の情報収集を行うことができた。都道府県では、所管域を担当する事業者に全面的に事業を任せている自治体もあれば、事業の進捗や管理を所管課で主導して管理している自治体、また町村との関係を取りながら調整を行なっている自治体もあることが示唆された。 3)支援方法の開発については、今回の調査結果により、連携機関の実態と支援方法との関係データを得ることができた。今後調査結果を精査し、視察や聞き取り等の情報収集を行い、地域のニーズに合わせた支援の優先度を明確化していくこととしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的なデータ収集は、文献資料ベースやオンライン等の情報収集ベースでは、予定通り進んだ。アンケート調査については、オンラインを活用して可能な限りの範囲で実施することができた。他方で、依然として、コロナ禍による視察や訪問調査による情報収集は、滞る状況が続いていた。 1)文献調査及び情報収集:コロナ禍での研究作業を効率的に進めるために、2ヶ月に一回程度のオンラインによる研究会議を研究分担者と開催して遠隔で作業を進めた。一年目にコロナ禍の感染拡大状況で延期していた先駆的自治体の事例を1箇所訪問して視察を実施することができた。あわせて、アンケート調査の実施に関係する連絡相談において、自治体の事業者との関係性についての情報を得ることができたことは、副次的な成果であった。 2)調査実施:アンケート調査について、設計、倫理審査受審、調査実施、集計を行うことができた。オンラインの依頼であったことから、回答率を十分確保することが困難であった。今後、追加して調査依頼や範囲を広げて行う等の対策を検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的に合わせて、次の3点で推進方策を考えている。 1)相談支援における連動性を含めた現状と課題把握については、引き続きコロナ禍の感染拡大状況を観察しながら、全国の事業者の視察や訪問による情報収集の可能性を探っていきたい。併せて、アンケートの追加実施や対象範囲の拡大等を検討していきたい。 2)各自治体の実施状況と課題の把握については、文献資料の取集を継続しつつ、事業者の訪問が可能となる場合には、自治体の所管課とも積極的にアポイントをとって、自治体の担当者にも訪問や情報収集を行なっていく工夫を取りたい。 3)支援方法の開発については、今回収集したアンケートデータをさらに詳細に分析していくことと、先駆的事例を視察訪問する機会を探り、今回のアンケート調査結果を踏まえた意見交換を事業者と行なっていく工夫をしていきたい。 昨年度は、研究を前に進めるために、対象等の限定の工夫を行なって進めたが、年度ごとに対象を追加するなど、全国の幅広い支援事例の収集の可能性を探ることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度から引き続き計画として、子どもの学習支援・生活支援事業についての先進実践事例を行なっている事業者を訪問し、実践の状況について視察を行い、実態把握の調査設計及び情報収集へ活かす予定であった。しかしながら、2021年度についても、新型ウイルスによる感染拡大状況に際し、感染拡大防止の観点から、訪問先の受け入れが難しい状況が続いている。本事業は、事業者のみならず、利用者が自動とその家族であることから、現場の実践が一時中断したり、開催が見送られたり、また、他県等からの訪問を見送ることとなったことから、現地視察を延期せざるを得ない状況が続いた。このため、2020年度に断念した訪問先の一部は,視察が実現したが、その他の訪問予定先視察に要する旅費、謝金、その他の関連する費用等の予算が計画通りに執行できなかった。オンラインの情報収集も工夫して行なってみてはいるが、事業の特性上、限界があることがわかった。 なお、これらの費用については、今後も引き続き、感染状況と訪問先の受け入れ方針を見ながら、視察の可能性を探っていきたい。
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