研究課題/領域番号 |
20K02278
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
菅野 恵 和光大学, 現代人間学部, 教授 (80760743)
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研究分担者 |
島田 正亮 杏林大学, 保健学部, 准教授 (80580563)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネグレクト / 児童養護施設 / 心理的回復プロセス / フォローアップ |
研究実績の概要 |
本研究は、児童養護施設に入所したネグレクト児を対象として、心理的回復プロセスに着目したフォローアップ調査を行うことにある。また、退所した後の家庭や社会での適応状況についても評価を行うこととした。また、本研究によってネグレクト児の予後を追跡することで、退所後のアフターケアを見据えた心理的回復のための支援方略モデルを生成することとした。 そこで、支援者調査Ⅰとして位置付けている研究1は、基礎調査でネグレクト児と判断された65人が、3年後どのような状況になっているかケアワーカーを対象にフォローアップ調査を行い、主として、複数の児童養護施設の児童を担当するケアワーカーに質問紙調査を実施することとした。 研究2は、支援者調査Ⅱとして、研究1で支援が奏功した事例、支援が停滞した事例を約5事例ずつ、計10事例抽出し、ケアワーカーと心理療法担当職員に面接調査を行うこととした。主な問いとしては、アウトカム(支援目標やゴール)の設定はどうだったか、児童の課題が顕在化したことで具体的に支援を行った場面はあったか、児童の課題がなぜ顕在化しなかったか、 複数のケアワーカーが残した生活記録を基に語ってもらい、心理的回復プロセスに必要な支援者の役割や効果的なアプローチを明らかにすることを目的とした。 さらに研究3では、研究2で抽出された事例から退所しすでに社会人になっている事例をさらに抽出し、当事者調査として面接調査を実施することとした。主な問いとしては、施設での心理的回復の実感の有無や、施設退所後の社会適応状況について尋ねる予定である。 当該年度は、研究1の支援者を対象にした調査のヒアリングに着手し、質問紙調査の準備を挿入に進めている。また、文献研究では海外の動向を整理し論文にまとめた。また、実践報告を行い、分離と再会のテーマに着目しアフターケアのあり方に言及した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
子どもの生活の場での調査ということもあり、コロナ禍で調査協力機関への立ち入りが困難な状況が続き、研究計画に遅延が生じている。そこで、当該年度は文献研究や限られた関係者へのヒアリングを進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の状況によるが、調査協力施設への立ち入りができるようになってきているため、研究計画が促進できるようにタイミングを見計らって感染防止対策に留意しながら調査を進めていく予定である。また、感染状況が悪化し再び施設への立ち入りが困難になった場合、対応策としてオンラインでの調査に切り替えるなどして停滞させないように留意していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で当該年度に調査遅延のため未使用額が生じた。そのため、未使用額は次年度に経費を充てることとしたい。
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