研究課題/領域番号 |
20K02278
|
研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
菅野 恵 和光大学, 現代人間学部, 教授 (80760743)
|
研究分担者 |
島田 正亮 杏林大学, 保健学部, 准教授 (80580563)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ネグレクト / 児童養護施設 / 心理的回復プロセス / フォローアップ |
研究実績の概要 |
近年深刻化する児童虐待問題では、生命の危険や怪我といった顕在化されやすい身体的虐待に比べ、育児の放棄や怠慢といったネグレクトは周囲に気づかれにくい。また緊急性が低く捉えられる傾向にもあるため、支援の遅れが懸念される。またネグレクトの重篤ケースは児童福祉施設へ措置されるが、施設内では攻撃性のような周囲の目をひく行為をとらず、感情の抑圧や活気の欠如といった形で児童の課題が気づかれにくい傾向がある。そこで、ネグレクト児は特にレジリエンス(回復力、抵抗力、復元力≒生きる力)を高めるためのアプローチが必要となるが、ネグレクト児の課題は指摘されているものの、その後の支援としてレジリエンスに着目した研究はあまりみられない。 本研究では、ネグレクト児のレジリエンスを高める介入効果の検証を行うことを目的として、質的研究および量的研究の両面から包括的に追跡調査を進めている。質的研究としては、児童養護施設を退所し社会的自立した者へのフォローアップ調査をする中で、死亡事例が数件存在することが明らかになった。また、公的機関からの支援を受けながら順調に生活を送っている者や、精神疾患を患いながらも施設関係者を頼りながら生活している実状がわかってきた。 また、予備的な調査として子どもの頃に被虐待経験のある成人男性へのインタビュー調査を実施し、その後の人生を乗り越えるきっかけや強みを見出すプロセスについての語りが得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
児童福祉施設での研究のためコロナ禍によって研究計画を大幅に見直すことになり、施設の担当者との打ち合わせを重ねてきており、現在立て直しの最中である。追跡調査の一部は進んでおり、死亡事例や公的支援を受けている事例などの実態がわかってきた。また、補助的な調査として、子どもの頃に被虐待経験のある成人男性へのインタビュー調査を実施し、レジリエンスとの関連性について検討を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、どのような介入が効果的であったかという検証を進めていき、支援方略モデルの生成 に向けてデータの収集を迅速に行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で調査依頼先である児童養護施設への立ち入りが困難になり、研究計画を大幅に見直すことになった。特に、調査の実施を見込むことが難しい状況だったことから、物品の購入、人件費の使用が計画通りに進まなかった。また、学会等も中止や縮小され、予定していた出張が無くなっていたが、2023年度以降、さまざまな活動制限が緩和し、次年度の使用額が生じている。
|