研究課題
研究実施計画に沿って、日韓の市民社会、NPO・NGOがアドボカシーを強化するために外部環境にどう働きかけるか、それに相応しいマネジメントは何かについて研究を行った。研究代表者は、主に経営学の視点から「NPOの組織基盤形成」というテーマで論文及び学会発表を行った。新型コロナ禍及び政府のコロナ対策の実施といった外部環境の変容のなかで、日韓のNPO・NGOの動向について研究した。例えば、日本経営診断学会全国大会や韓国国際交流財団の招待講演(オンライン)で市民社会の組織のマネジメントについて報告した。NPOの組織基盤強化やコンサルティングをテーマにした発表は珍しいこともあり、会場からの反響もあり、新しい視点から研究成果を報告することができた。研究成果は韓国からのオンライン招待講演にもつながり、また地方自治体(大津市)の女性起業家の経営スクールの講師を務めて、社会還元することもできた。研究分担者は、NPO・NGOが外部環境に働きかけるときに重要な要素となる情報環境とその力学について、マス・コミュニケーション論から検討を行った。2020年度は、新聞・放送といった主流メディアではなく、代案発信力が高く、したがってNPO・NGOの情報発信戦略とも親和性が高いオルタナティブ・メディアに焦点を当て研究を進捗させた。例えば、伝統ある総合雑誌『世界』2020年8月号(岩波書店)に「韓国ジャーナリズムの最前線ーオルタナティブ・メディアによる「公共圏」をめぐる闘い」を寄稿した。また、今後NPO・NGOの情報発信戦略にも大きな影響を与えるであろう、COVID-19下におけるメディア環境の実態・変化を分析した。これについては「日本における新型コロナウイルス感染症とマスメディア報道」を『 ポストコロナ時代の東アジア (アジア遊学253)』(勉誠出版、2020年10月)に寄稿した。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナ禍で日本国内や韓国のNPOに対するフィールドワークは困難となったため、本研究の一部が遅れた。反面、コロナ禍でのNPOの対応といった新しい研究分野にも取り組むことができた。
新型コロナが落ち着けば、日本国内及び韓国のフィールドワークを今夏に行い、研究協力者と打ち合わせを行い、最終報告の打ち合わせを行いたい。しかし、現時点で新型コロナの影響が見通せないため、状況に応じて理論研究に切り替えたい。
新型コロナの影響により、韓国の研究協力者との訪問打ち合わせや現地視察が困難となり、旅費に未使用が生じた。新型コロナが落ち着き次第、現地訪問を行い、予算を使用したいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)
立命館産業社会論集
巻: 56 (4) ページ: 105-114
世界
巻: 935 ページ: 10‐22