研究課題/領域番号 |
20K02284
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研究機関 | 福山平成大学 |
研究代表者 |
岡部 真智子 福山平成大学, 福祉健康学部, 教授 (80460591)
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研究分担者 |
脇野 幸太郎 長崎国際大学, 人間社会学部, 教授 (00565658)
児玉 善郎 日本福祉大学, その他部局等, 学長 (80243327)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 居住支援 / 居住支援協議会 / 住宅確保要配慮者 / 地域共生社会 / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
本研究は、居住支援に携わる関係者が連携・共同して取組むための「居住支援ネットワークプログラム(仮称)」の開発を行い、その実践による検証を通じて,居住支援に連携して取組むために必要な要素や取組む上での課題解決の方策を明らかにすることを目的としている。 2021年度には、研究代表者はA市居住支援協議会の過去5年間の相談記録の分析を行い、報告書にまとめた。相談記録の分析から、住まいの問題を抱える人の中には、複数の問題を併せ持っている場合があり、相談に対応する者は、家賃が支払えない問題のみがあるととらえるのではなく、問題全体を把握し、必要な機関につなげるなどの取組みが必要となる。相談対応者にはソーシャルワークの知識や技術、倫理観が必要になることを明らかにした。 また、これまでに居住支援協議会が対応した複数の相談記録の分析を行い、それを学会にて発表した(「居住支援におけるソーシャルワークの機能に関する一考察-世帯属性別の課題に対応するソーシャルワークの機能とその役割-」)。世帯属性に伴うさまざまな居住支援が行われるが、それらをソーシャルワークの機能(仲介的機能、調停的機能、代弁的機能、連携的機能、処遇的機能、治療的機能、教育的機能、保護的機能、組織的機能、ケースマネージャー機能、社会変革機能)と突合しながら整理することができた。これらは開発するプログラムに含むコンテンツの根拠となる資料である。 研究分担者は、論文「低所得者に対する居住支援―『地域共生社会』の理念と居住支援の関係性―」を執筆した。本稿では、住宅セーフティネット法における住宅確保要配慮者、とりわけ低所得者に対する居住支援のあり方について、「地域共生社会」の考え方と関連づけながら検討を行い、低所得者の多面的な支援ニーズに着目したトータルな居住支援のあり方について論じた。これらはプログラムにおける理念を支える位置づけとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、居住支援協議会、居住支援法人の取組に関する実態把握を踏まえたうえで、居住支援関係者との共同により開発したプログラムの実践を通じた評価・検証、ならびに居住支援関係者のネットワーク構築を促進させる要素や、法的課題解決の方策の検討を行う予定であった(2023年度までの継続課題)。 研究代表者は、前年度同様、ある市居住支援協議会の活動の詳細を把握し、プログラムに含む要素を収集・整理したが、もう少し複数の事例の収集を行う必要を感じており、「居住支援ネットワークプログラム(仮称)」の完全な開発には至っていない。また、プログラム開発には、地域性やそれまでの居住支援につながる活動の経験を踏まえたプログラムの構築が必要であると感じている。また、研究代表者は、2021年度からA市住生活基本計画の策定委員となった。計画策定の機会もいかしながら、プログラム開発を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度(令和4年度)は、引き続き、先駆的な取組みを行っている居住支援協議会、居住支援法人の取組に関する実態把握を行う。そのうえで、「居住支援ネットワークプログラム(仮称)」を継続して開発する。 プログラムを開発したうえで、居住支援関係者との協働によりプログラムの実践を進める。実践を進めながら、居住支援関係者のネットワーク構築を促進させる 要素を明らかにする。また、引き続き賃貸借契約にかかる法的課題の整理を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
先進的な取り組みを行っている自治体、団体にインタビュー調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、複数個所に調査に出かけることが難しかった。このため次年度使用額が生じた。また、研究メンバーが参加する移動を伴う研究会を開催しなかった。
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備考 |
居住支援における相談支援のあり方、継続的運営に関する調査報告書
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