研究課題/領域番号 |
20K02285
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
山本 佳代子 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (00364125)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HSC / 乳幼児期 / 保育士 / 保育ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
本研究は生得的に高い過敏性をもつ子ども(Highly Sensitive Child)の支援に必要な保育所保育士のソーシャルワークコンピテンシーを析出し、保育士のHSC支援のための保育ソーシャルワーク実践指標となるコンピテンシーモデルを構築することを目的とするものである。HSCに対する支援の必要性は国内外で注目されているが、国内では乳幼児期のHSCに関する実態解明や適切な支援についての言及は十分になされていない。このような特別な配慮を必要とする子どもへの支援には保育ソーシャルワークが有効であるとされており、保育士がHSC支援のための保育ソーシャルワークコンピテンシーを身につけることにより、質の高い支援と子どもの肯定的な成長を促進する養育環境の形成につながり、子どもの健全な成長発達を保障することができると考える。 2020年度(研究1年目)においては質問紙の項目作成および本調査に向けた予備調査を実施予定であったが、コロナウイルス感染の流行等、諸般の事情により当初の計画通りに研究を遂行できなかった。そのため2020年度は当初計画を変更し、①乳幼児期のHSCに関わる文献研究と質問項目の作成、②保育士を対象としたインタビュー調査の準備を行った。文献研究では乳幼児期のHSCに焦点を当て、その育ちと子育てに関する国内外の研究をレビューした。また調査項目の作成段階において、より実践的な調査内容を検討するうえで保育士を対象にヒアリングを行う必要性があると認識した。これをふまえ、2020年度後半は保育士を対象としたインタビュー実施に向けた準備を開始した。インタビュー調査は2021年度前半の実施を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度の研究が「遅れている」とした理由は以下2点である。 (1)研究1年目は本調査に向け、質問紙調査の項目を作成し、保育士を対象とした予備調査を実施予定であったが、コロナウイルス感染の流行等、諸般の事情により計画通りに研究を遂行できなかった。 (2)文献研究を進め、質問紙調査の項目を作成していく段階で、調査内容をより現場実践に沿うよう精査する必要性があると考えた。そのため、当初予定を一部変更し、保育所保育士が乳幼児期の過敏性が高い子どもに対しどのような意識を持ち、日々の保育等を行っているかを明らかにすべく、インタビュー調査を加えることとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は保育士を対象としたインタビュー調査を実施し、乳幼児期の過敏性が高い子どもに対しどのような意識を持ち、実際の支援を行っているかについて明らかにする。この結果をふまえ、研究1年目に予定していた質問紙を完成させ、予備調査を行うことを目標とする。 2022年度は、予備調査で得た成果に基づき作成した質問紙を用い、HSCに対する保育士の支援実態とコンピテンシー等に関する本調査を実施する。本調査は①無記名・自記式の質問紙調査(郵送法)を実施、②対象は全国の認可保育所に勤務する保育士とする。その後、回収された調査データの統計分析を行う。また、学術雑誌や学術集会等で結果を公表し、研究成果を社会へ発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に予定していた調査を実施することができなかったため、調査に必要な質問紙作成費、郵送費、アルバイト人件費、統計分析用のパソコン費用として使用予定である。
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