研究課題/領域番号 |
20K02286
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
馬場 保子 活水女子大学, 看護学部, 講師 (70623205)
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研究分担者 |
今村 嘉子 東京医療学院大学, 保健医療学部, 准教授 (00585143)
横山 加奈 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (20551683)
新田 章子 鎮西学院大学, 現代社会学部, 研究員 (30457501)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 離島・僻地 / アドバンス・ケア・プランニング / エンディングノート / 民生委員 / 地域づくり |
研究実績の概要 |
親の介護や看取りのキーパーソンである中年期のある人が自身の親の終活について、どのように捉えているか、対象者自身の終活への関心と何が関係しているか明らかにするために40~64歳の男女200人を対象に質問紙調査を行った。対象のACPの認知度は低く、終活について65.9%が親と話をしていなかった。対象の母親は父親よりも自分の思いを誰かに伝えることを行っており、終活の実施内容に違いがみられた。終活への関心は、介護経験、週1回以上の親との交流がある方が高かった。親の大切にしたい思いを知りたいが十分に取り組めていないことが示唆された。 また、A市では、エンディングノート(=人生ノート)を介護予防事業として行っており、介護予防教室で人生ノートの書き方について講習会を開いている。過去3年間に講習会に参加した20団体のうち、同意が得られた10団体110名を対象に質問紙調査を行った。平均年齢76.3±5.6歳、男女比29.1%:70.9%であった。女性は終活への関心が高く、男女で取り組み内容に差がみられた。人生の終末期について考えたことがあるが、その思いを身近な人に伝えていなかった(p<.01)。”大切にしたい思いを伝えた経験”は、男女、年齢で差はなかったが、介護経験がある人のほうが思いを伝えていた(p<.01)。人生ノートを持っていることを家族が知っているのは33.6%で、そのうち11.9%はノートをほぼ完成させていた。人生ノートを書こうと思うが書けないのは、女性、後期高齢者に多く、そのうちの42.9%は人生ノートに取り組みたいと回答した。中年期、高齢者ともに終活への関心はあるため家族と一緒に語り合う場を提供することや、対象の特性に応じて講習会の内容を工夫する必要がある。研究成果をA市の市民公開講座で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
離島・僻地におけるACPの現状と課題について民生委員を対象に質問紙調査とインタビュー調査を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症の蔓延により2020年同様にフィールド調査が行えない状況であった。そのため2021年度は、調査フィールドを変更し、ACP推進のために取り組んでいる自治体と協力してエンディングノートの活用実態や終活への取り組みについて調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ACPの推進のためには、若い世代にもACPに関心を持ってもらうことや、ACPについて家族と共有するための働きかけが必要である。ACP推進のために取り組んでいる自治体、社会福祉協議会、在宅サポートセンターと引き続き協力しながらエンディングノートの改訂版の作成と、人生会議について世代間交流が行えるような企画を行い、参加者に対する調査を行う。 また、医療・福祉資源の乏しい離島・僻地で生活する地域住民や地域を支える民生委員、地域包括支援センター、社会福祉協議会、療養者の急変時に搬送を行う救急隊員に焦点をあて、都市部と比較しながら、自分らしい終末期を迎えるための地域の取り組みと阻害要因を明らかにする。新型コロナウィルス感染症の蔓延により自治体の活動が中止され、フィールド調査が行いにくい状況であるが、感染症の動向を踏まえ、計画を可能な内容に適宜変更しながら遂行する予定である。調査を実施する際は、特に調査対象者に強制力を感じることがないようにすすめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査を実施するための印刷費や郵送料、インタビュー調査を実施するための旅費や謝金が必要である。感染症の動向をふまえながら調査を遂行する予定である。
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