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2023 年度 実績報告書

人身取引被害者支援の再考察:国際社会福祉学から考える安全な移動と生活

研究課題

研究課題/領域番号 20K02291
研究機関千葉大学

研究代表者

佐々木 綾子  千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (20720030)

研究分担者 大野 聖良  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (20725915)
島崎 裕子  早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授(任期付) (90570086)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード国際移動 / 国際福祉 / 非正規滞在者 / 支援活動
研究実績の概要

本研究は、これまで別々に捉えられてきた 「移民」「難民」「人身取引」という、いわゆる受入国家の側から定義される区分を、「国際移動」という大きな枠組みで捉え直し、移動する側に焦点をあてることで、「移動」が当事者、送り出し国、受入国にもたらす影響を明らかにした。特に、「人身取引」の被害者とされる人々、および被害者認定の難しい「グレーゾーン」に陥る人々への支援の在り方を探り、「国民国家」の枠組みに基づく「社会福祉」と「国際開発」をつなぎ、市民社会や国際機関との連携を含め、国境を越えた「人身取引」に対応しうる国際社会福祉の理論と実践枠組みを提示することを最終目的とした。
最終年度はまとめとし、送出国と受入国での被害者認定や支援の在り様がどのような枠組みに基づいてなされてきたのか、言説や統計、インタビュー調査の結果を含めて考察を試みた。また、代表が参画する千葉大学の研究プロジェクト、分担研究者として取り組む外国につながる若者たちの居場所研究、また国際ソーシャルワークの理論と実践を探求する研究会との協働で調査研究を行った。マクロでは国際定義のローカルな文脈での解釈の在り様とともに、国境や国籍、市民権がどのように管理され、移民コミュニティや地域コミュニティが当事者の社会資源や人的資源となり得るのか否かが「被害者」のその後を左右する。一方、「人身取引」の議論の中心と周縁が絶えず変化していることによって注目される被害と周縁化される被害が二極化して生じている現状が考察された。当事者にとって、国際移動がもたらす主観的意味、移動者を取り巻く環境を考慮したうえで、多様化した人身取引の被害の重さ比べをするのでも、被害を一様と考えるのでもなく、それぞれの背景からその被害にいたったというプロセスの理解、その先にある個々のニーズに即した支援を検討することが国際社会福祉の視点として重要なことが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「在留資格「興行」とは何だったのか――入国管理行政と招聘業界における言説に着目して2024

    • 著者名/発表者名
      大野聖良
    • 雑誌名

      経済社会とジェンダー

      巻: 5(9) ページ: 印刷中

  • [学会発表] 国際ソーシャルワークの現在地-「国家」と「文化」を問い直す2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木綾子
    • 学会等名
      日本社会福祉学会第71回秋季大会
  • [図書] Reconstructing the Narrative of "Because Japan is an Island": Discussions of Immigration, Migration, and Refugee Policy, In Teaching Japan: A Handbook2024

    • 著者名/発表者名
      Ayako Sasaki, In Eds. Ioannis Gaitanidis and Gregory S. Poole
    • 総ページ数
      293
    • 出版者
      MHM Limited
    • ISBN
      978-4-909286-46-8

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公開日: 2024-12-25  

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