令和4年度は、家族支援で用いるストレスマネジメント技法、ロールプレイング技法などの検証を行った。 ストレスマネジメント技法としては呼吸法に注目し、その検証を行った。イメージの教示の違いによるリラクセーション効果や気分の変容について検証を行った。イメージ呼吸による腹式呼吸と胸式呼吸の誘導については、教示方法に関する課題が残されたが、呼吸法による怒り、混乱、抑うつ、疲労感、緊張感の緩和が確認された。また、大学生を対象として、ストレスコーピングの活用を促す方法についての検証を行った。すでに獲得しているストレスコーピングを列記することにより、セルフモニタリング機能が高まり、不快な思考や感情の鎮静化が生じることが示された。 また、家族間コミュニケーションを円滑なものにし、肯定的感情や自己肯定感を高めるためのロールプレイング技法の開発を行った。自分の大切なもの(宝物)を擬人化し、即興劇を通じて、その宝物との対話を試みる「トレジャーズメッセージ」による情動体験の変化について検証した。宝物との対話は宝物にまつわる思い出を喚起し、温かな情動や自己肯定感の高まりを支援することが示された。また、即興劇を用いて親子関係に生じる様々な危機や課題を振り返り、多角的な視点の獲得が行われることが示された。 さらに、これらの実証研究で検証された臨床心理学的技法を用いて、発達障害児の親の会やアルコール依存症者の家族会における実践を試み、その効果や必要となる配慮点の検証を行った。
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