研究課題/領域番号 |
20K02297
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
渡邊 かおり 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (70595438)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 社会事業 / 治安維持法 / 社会事業研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、1920年代以降の社会事業の発展の時期と、治安維持法が存在していた期間(1925年~1945年)が重なっていることを踏まえ、治安維持法が社会事業の実践や研究にどのような影響を与えたかについて分析を行うことを目的としている。そのために、以下の3つの研究課題を設定した。研究課題1は、戦前と戦後の社会事業を取り巻く前提条件の違いを明確にした上で、戦前の社会事業における国民の主体的な取り組みについて分析することである。研究課題2は、治安維持法が社会事業の担い手に与えた影響と、その担い手たちがどのように社会事業に取り組んだかについて分析することである。研究課題3は、戦時体制下における社会事業の実践及び研究の実態について分析することである。 研究の1年目となる2020年度は、上記の研究課題にかかわる『特高月報』を始めとする資料収集と文献の分析を行うことを予定しており、『特高月報』を購入することができたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、出張や他大学の図書館の利用ができなくなったため、資料を集めることにやや支障をきたした。また、研究課題2に関する資料の分析を進めた。 2020年度に発表した天達忠雄に関する論文においては、1930年代後半における社会事業研究の一端について取り上げたが、日中戦争が始まった時期より、学生社会事業連盟の活動が『特高月報』に記録されるなど、学生の活動に対する特高警察の監視の目が厳しくなったことがうかがえた。しかし、社会事業研究所においては、比較的自由に社会事業研究を行うことができていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、口頭発表予定だった4月の研究会が中止になったり、他大学の図書館が使用できなくなったりしたこと、また、県外への出張が難しかったため、収集予定だった資料を集めることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるが、2020年に購入できた『特高月報』やその他関連資料を用いて、1920年代から1930年代にかけての社会事業と治安維持法の関連について分析を進める予定である。新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着き次第、他大学の図書館や県外の図書館での資料収集を再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により出張が難しく、旅費を使用しなかったため、次年度に繰り越した。2021年度は物品費を主に書籍の購入に、出張が可能になれば資料収集のために旅費を使用する。
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