研究課題/領域番号 |
20K02301
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
會田 玉美 目白大学, 保健医療学部, 教授 (60406569)
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研究分担者 |
山田 孝 東京保健医療専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (70158202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高次脳機能障害 / 医療福祉連携 / 社会参加 / 地域リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、区市町村高次脳機能障害者支援促進事業における高次脳機能障害者の社会参加促進の効果の指標を作成することである。 2020年度は調査には郵送による質問紙法を用いた。パイロット調査を都内高次脳機能障害普及促進事業実施機関44か所に郵送法調査を実施した.その結果、回答者の支援経験は2極化しており、半数は専門家ではなかった。年間相談件数を中央値200件で多い群と低い群に分けた結果、支援普及推進事業の効果の指標は、福祉サービス連携件数の推移,ピアグループ活動など社会参加件数の推移、支援者の高次脳機能障害の理解に有意な差がみられた。相談件数の多さは福祉サービス開始に直結し、インフォーマルな地域資源の活用の促進、サービス間の連携や高次脳機能障害に関する支援者の理解度を普及事業の効果指標に入れる必要があると考えられた。次に全国119か所の高次脳機能障害支援拠点に郵送本調査を行った。回答者の高次脳機能障害の支援経験は約半数が5年未満であった。事例検討会,支援者連絡会、支援者向け専門相談、高次脳機能障害者・家族会イベントの年間回数には強い相関がみられ、年間相談件数および毎日の相談の頻度と就労サービスの新規件数、福祉サービスの新規件数、復職・就職した数には強い相関がみられた。就労系サービスの開始数と就職した数にも強い相関がみられた。高次脳機能障害普及促進事業の成果の因子分析の結果、「重層的連携」「社会参加の達成」「相談支援の動向」の3因子が抽出された。年間相談件数と、講演会の年間回数・事例検討会の年間回数・支援者連絡会等の年間回数・高次脳機能障害者・家族会イベント年間件数の重回帰分析は、支援者連絡会の実施が最も大きな影響を与えており、次に講演会の実施が大きな影響を与えていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症拡大のため、インタビュー調査を予定していた障害福祉領域支援者への調査を郵送による質問紙調査に切り換えた。東京都内の高次脳機能障害拠点機関に対するパイロット調査も、全国の高次の脳機能障害支援拠点機関への本調査も概ね50%程度の回収率が得られ、障害福祉領域支援者の高次脳機能障害者の社会参加促進の効果としての量的な分析による調査結果から新しい知見を得ることができた。就職などの社会参加は障害福祉サービスの相談件数と非常に密接な関係があり、障害福祉サービスの相談件数を増加させることが重要と考えられた。2021年度は医療領域の支援者に対する調査も質問紙調査ないしはWEB調査にて準備中である。2020年度は板橋区地域自立支援協議会高次脳機能障害部会では、主だった支援先とZOOMを用いた定期的な情報交換が可能になった。本研究の大きな目的である「連携の場」をコロナ感染拡大を背景にして実現できた点は、今後の研究の促進要因になると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
調査結果の一部を世界作業療法学会(2022年3月)に演題を登録した。また2021年9月のリハビリテーションインターナショナルコングレスに演題を登録し、発表が決定している。研究成果の発表としてオープンアクセス誌への掲載を視野に入れて、成果をまとめる。 2022年度は医療領域の支援者に対する調査を質問紙調査ないしはWEB調査にて実施する。また現在は暫定的なエクセルドキュメントを使用したZOOMを用いた情報交換を行っているが、今後は調査結果から効果測定を盛り込んだデータセットに改良する必要がある。2022年度の使用開始、モニタリングを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究計画を面接調査からアンケート調査に変更したことと、国際学会がオンライン開催あるいは延期されたため、研究旅費の使途がなかったことの2点より、次年度使用額が生じた。今年度は対象を拡大してアンケート調査を実施することと、現在2つの国際学会が予定(1演題はアクセプト、1演題は登録済み)されているが、国際学会への参加旅費をオープンアクセス誌への投稿に替えて成果発表とする作業を進める。
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