研究課題/領域番号 |
20K02304
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
山本 理奈 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (50708500)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 都市 / 住宅 / 政策 / 高齢者 / 生活支援 / 消費者主導ケア / 居住福祉 |
研究実績の概要 |
本年度は、豪州における「消費者主導ケア」に焦点をあて、高齢者在宅ケアシステムの改革に関する現地調査を実施することを予定していた。「消費者主導ケア」とは、サービスを利用する本人が必要とするケアの種類やその受け方の決定過程に関与し、個人予算のもと、金銭的な管理の面でも透明性を高めるためのものであり、日本における生活支援サービスのあり方を検討するうえで参考となる取り組みである。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う渡航規制により、予定していた現地調査を遂行することが困難となった。 そのため本年度は、日豪の比較分析の土台となる日本における生活支援サービスの現状と最新の動向を明らかにすることに重点をシフトした。具体的には、1)政府・研究機関・民間企業による調査報告書の収集・分析を行い、2)介護領域における産業見本市「東京ケアウィーク」のフィールドワークを通して、①見守りシステム、②情報管理サービスを中心に調査を行った。まず、調査報告書の収集・分析に関しては、産官学連携で行われている「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」に着目し、全国のリビングラボの取り組みに関する関連文献の収集・分析を行った。つぎにフィールドワークでは、「第5回次世代介護テクノロジー展」を中心に、現在の介護現場に導入されている最新のテクノロジーについて、各ブースの担当者から聞き取りを行うとともに、パンプレットなどの一次資料の収集を行った。 これらの作業を通して、住まいと見守りシステム・情報管理サービスを連係させることによって、高齢者の居住生活をサポートしつつ、その活動が自然と誘発されるような取り組みが進められていることが明らかとなった。換言すれば、生活支援サービスの高度化に伴い、AI、IoT、ロボットなどを融合させた住空間が、生活者の視点から在宅介護の現場にイノベーションをもたらすことが予測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、COVID-19の影響により現地での資料収集および聞き取り調査を行うことが不可能となったため、当初の研究計画を変更せざるをえず進捗状況に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
「消費者主導ケア」の導入に焦点をあてながら、豪州における高齢者在宅ケアシステムの改革に関する現地調査を実施する。具体的には、1)都市の高齢者住宅に関する政策、2)高齢者住宅の供給業者の動向、3)先進的事例と居住者の住まい方の実践、以上の三点を中心に調査を行う。ただし、COVID-19の感染状況次第では、高齢者を対象とする対面での聞き取り調査は困難となる可能性が高い。その場合、豪州の生活支援サービスにおいて、AIやロボット技術を中心とする先端技術の導入状況を、①見守りシステム、②情報管理サービスに着目して調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、2021年度は現地での資料収集および聞き取り調査を行うことが不可能となった。そのため、翌年度に調査関連費用を繰り越すこととした。
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