研究課題/領域番号 |
20K02307
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
石橋 仁美 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (30583900)
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研究分担者 |
石橋 裕 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (50458585)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がん / QOL / アピアランス / 自己評価表 / 作業療法 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、がん患者に対する生活と関連づけたアピアランスケア自己評価表の内容的妥当性の検討を目的に、Nominal Group Technique(NGT)を用いて2段階の研究を行った。Consensus-based Standards for selection of health Measurement Instrument(COSMIN)に準拠して行った。 第1段階では評価表の構成概念と項目プールを文献レビュー、アピアランスケアガイドライン、既存の評価尺度を参考に作成した。その結果、1:治療マネジメント、2:整容スキル、3:新しい生活様式への適応という3つの構成概念と28項目の項目案が作成された。第2段階ではがん患者に支援を行なっている医療福祉専門職を対象に、NGTを用いて項目の内容的妥当性を検討した。NGT参加者には、各項目を5段階のリッカート尺度でNGT前後に採点してもらった。NGTでは各項目について議論され、追加項目が6項目、修正項目が15項目となった。NGT後の採点結果では34項目中30項目が基準を満たし、4項目が基準を満たさなかった。採点結果を踏まえ、研究者3名で議論し、基準を満たさなかった4項目を除外し、基準を満たした30項目を試作版として採択した。 段階1では5項目中全て,段階2では5項目中全てがvery goodを満たしたため,作成した質問紙は高い基準で内容的妥当性を確認できたと考えられた.また、試作版評価表には3つの構成概念に基づき、治療を生活の一部として対応する項目、身だしなみを整えるために専門的な技術を用いる項目、外見変化に対応したうえでの生活の実施状況に関する項目が含まれた。これらは、社会とつながりを持っているがんサバイバーの医療者へのニーズに即した切実性の高い項目であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、研究を3段階に分けており、初年度である令和2年度の研究目的は、質問項目の候補をリストアップすること(項目プールの作成)、がん患者を支援する医療職で構成された専門家委員会を立ち上げNGTの手法に基づき評価表の内容的妥当性を検証することであった。どちらも成果を出しており、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
アピアランス自己評価表開発に向けて、今後は構成概念妥当性の検証を行う必要があり、異文化間妥当性の確認も必要となる。そのため、専門家からの知識の提供の際は、国内だけでなく海外の専門家からもインタビュー調査を行う必要がある。研究計画当初、直接対面でのインタビュー調査を予定していたが、状況によってはオンラインでの調査に変更する可能性がある。 構成概念妥当性の検証後、実際に臨床でがん患者に対して質問紙を使用し、内的一貫性、再検査信頼性、解釈可能性について検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に実施したNominal Group Technique(NGT)は、感染予防の観点から対面での開催ではなく、リアルタイムのオンライン上にて実施したため、実施にあたり予定していた開催費用を抑える結果となった。 令和3年度の研究では、海外の専門家への依頼があり、渡航費への支出を予定している。もし渡航が難しい状況であれば、頻回なオンライン上でのインタビュー調査が必要となり、謝金も含めて費用を使用する。さらに、研究代表者、研究分担者ともに、令和2年度より公益社団法人国際化粧療法協会に所属しており、学術集会の実行委員を担っている。同じく実行委員となっているアピアランスケア専門の医師へのインタビュー調査の依頼も検討している。したがって、その際の謝金や交通費、録音機器なども含めて費用の使用を計画している。
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