研究課題/領域番号 |
20K02307
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
石橋 仁美 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (30583900)
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研究分担者 |
石橋 裕 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (50458585)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がん / ルックスケア / アピアランス / 生活行為 / 作業療法 |
研究実績の概要 |
本研究で開発されるアピアランス自己評価表を実施することで、がん患者と医療者がアピアランス(外見)に関連する生活上の問題を把握することができ、例えば作業療法では適切な生活支援を、看護部門では症状に対する直接支援を円滑に実施されることが期待される。 2021年度は、2段階で文献研究を行った。まず一つ目は、アピアランス自己評価表の対象となるがん患者の生活行為の現状に関して、文献調査を行いアピアランスにつながる生活上の課題を改めてリストアップした。二つ目は、作業療法におけるがん患者への介入の現状に関して文献調査を行い、アピアランス(外見)に着目して分析を行った。 医学中央雑誌刊行会web Ver.5とCiNiiを使用し「がん」「作業療法」をキーワードとして検索、その後「作業療法士が介入を実施している」「がん患者への介入である」「作業療法士が筆者である」といった基準を満たす文献を手作業にて抽出した。その結果、作業療法士が着目する生活行為の問題は、アピアランスの自己ケア(洗顔や化粧、整髪といった整容行為)に関しては少なく、ADL(日常生活活動)では歩行などの基本動作や食事(箸操作等)、IADL(手段的日常生活活動)では瓶の蓋を開けることや調理をするといった料理、掃除の問題が多く挙げられた。その他、書字など巧緻性を伴う物品操作、余暇活動としての外出や肩や腕を動かすようなレクリエーション活動、仕事復帰に関する問題が挙げられた。治療によって起こる肌変化に着目した文献はなったものの、作業療法士が着目している生活行為には人や社会との交流における問題もあり、その際必要となる整容行為(化粧や整髪)は、道具操作を必要とするため困難が予想される。がん患者へは治療による肌変化に加えて広義の「ルックスケア」が重要となることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、3段階で実施することを計画していた。2020年度は予定通り、Nominal Group Technique(NGT)による質問項目の内容的妥当性の検証を行った。2021年度は開発した質問紙の妥当性(構成概念妥当性、基準関連妥当性)を検証する予定であったが、作業療法士のアセスメントによるがん患者の生活行為の課題やアピアランスに着目した作業療法を実施しているかを検証するために文献研究を行った。予定していた妥当性の検証は2022年度実施することとする。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、すでに質問項目の内容的妥当性を検証した質問紙の妥当性(構成概念妥当性、基準関連妥当性)の検証を行う。さらに信頼性(内的一貫性、再検査信頼性)と解釈可能性の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は文献研究を行い、2022年度学術集会発表、論文投稿、図書執筆の準備を行ったため、研究に必要な費用をおさえる結果となった。 2022年度は、がん患者を対象とした妥当性や信頼性の検証を行うため、学術調査の代行業者への費用や対象者への謝金などが発生する。さらに2022年度では研究者、研究協力者の学術集会参加費用(参加費、旅費)やオープンジャーナルへの投稿料でも使用する予定である。
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