研究課題/領域番号 |
20K02315
|
研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
清水 弥生 神戸女子大学, 健康福祉学部, 准教授 (80280030)
|
研究分担者 |
水上 然 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (70620748)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 外国人介護労働者 / 介護職員研修 / 認知症ケア / ケアの質 / EPA介護士 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本で外国人介護士を受け入れてきた施設の取り組みに注目し、認知症ケアに必要な外国人介護労働者との協働のためのシステムを探求することを目的とする。そのため国内のこれまでのEPA(経済連携協定)介護士受け入れ体制、介護労働の現状、技能実習生制度で懸念される研修およびケアの質を分析し、特に認知症ケアに対応するために、どのようなケア環境や教育、支援を提供すればよいか、介護者、利用者双方の視点で焦点化する。 2020年度は研究課題として、外国人介護労働者の受け入れのための課題の抽出、すなわち国内の外国人介護士受け入れ施設の実態把握を予定していた。そのため、高齢者福祉施設に対する質問紙調査および面接調査の準備を進めていた。しかし、新型コロナウィルスによるパンデミックにより研究活動に大きな障害が生じた。結果として、今年度の高齢者福祉施設に対する質問紙調査を断念せざるを得ず、代わりに、文献調査、自治体や他機関による同分野調査結果の検討、および他大学や関連団体が遠隔で行う研究会への参加を通じて対象分野の知識を得ることとした。上記より外国人介護労働者の受け入れについて職場側から、また介護労働者側からの発信をいくつかヒアリングすることができた。しかし、認知症ケアについて触れているものはほとんどなく、調査の必要性を再認識した所である。また、遠隔実施された海外の研究会にも出席し、特にオーストラリアの認知症ケアの質保障について考察を深めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナによるパンデミックは調査対象である高齢者福祉施設入居者と職員に大きな影響を及ぼした。感染予防等により職務負担も増え、居住空間ということから入居者の安全を考えて、対象施設から調査は落ち着くまで控えたいという声があった。また、研究者側も2020年度は初めての遠隔授業の準備、学生への対応等に専念せざるを得ず,研究活動に支障が生じたことが一番の原因である。 ただ、遠隔で実施される国内外の研究会への参加が容易になった面もあり,調査の準備をあ程度進めることができた。今後は感染症の状況を見極めながら、実施可能な調査の準備と文献研究を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、質問紙調査とともにインタビューを基本とした質的調査を行う調査計画を組み立てており、調査対象が高齢者福祉施設であるため、今後の感染症の推移によっては計画を大幅に変更せざるを得ない可能性がある。 今回の新型コロナウィルスによるパンデミックにより、海外との人の流れはしばらくは抑制されるであろうが、要介護者の増大と介護者の人手不足という高齢者福祉分野の状況は今後も変わらず、感染症が落ち着いた後の外国人介護労働者受け入れの流れは加速すると思われる。現在は可能な範囲で関連する資料やデータを収集し、調査活動の制限が解除された際には、調査を実施できるよう準備を行う。 また、現在はzoom等を利用したコミュニケーション手段が一般的になり、これらを利用して高齢者福祉施設外の調査対象者に対してインタビューを行うことを計画している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナによるパンデミックのため予定していた高齢者福祉施設を対象とした調査が実施できず、そのために計上していた経費を支出しなかった。代わりに文献研究や事前研修等を行ったが、その費用は所属する大学の研究費等で賄い、来年度の調査実施のためなるべく使用しないようにしたため使用額は少額となった。 2021年度には、実施可能な調査を行うとともに、感染症の状況によっては研究期間を延長することも考慮して計画を進める予定である。
|