研究課題/領域番号 |
20K02332
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
風見 真千子 東京農業大学, 農学部, 准教授 (60761046)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デハイドリン / 特徴的配列 / 置換変異 / 凍結変性防止効果 |
研究実績の概要 |
野生型(N末端にY-segment、C末端にK-segmentが存在:Y-K)のプラスミドを鋳型に、変異型①(N末端のY-segmentをS-segmentに置換:S-K)、変異型②(N末端のY-segmentをK-segmentに置換:K-K)、変異型③(C末端のK-segmentを2個のY-segmentに置換:Y-YY)、変異型④(C末端のK-segmentをY-segment、S-segmentに置換:Y-YS)、変異型⑤(C末端のK-segmentを2個のS-segmentに置換:Y-SS)の部分置換変異導入を行った。タンパク質発現誘導後、精製を行い、得られた部分置換デハイドリン組み換えタンパク質をSDS-PAGEで分離し、CBB染色を行ったところ、野生型および変異型①、③、④、⑤は31kDaに、変異型②は32kDaにバンドが検出された。また、ヒスチジン抗体を用いたWestern Blottingではいずれの組み換えタンパク質もCBBと同じ分子量に単一のバンドか検出され、デハイドリン抗体(エピトーブ:K-segment)を用いたWestern Blottingでは野生型、変異型①、②でバンドが検出され、変異型③~⑤はバンドが検出されなった。以上の結果より、5パターンの部分置換デハイドリン組み換えタンパク質の発現に成功したことを確認した。 さらに、デハイドリンは乳酸脱水素酵素(LDH)に対して凍結変性防止効果を示すことが明らかになっていることから、 発現させた部分置換デハイドリンタンパク質がLDHに対する凍結変性防止効果を有しているのか解析した。その結果、変異型③は他の組み換えタンパク質に比べて賦活および凍結変性防止能が低い可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定よりも部分置換体の組み換えパターンを増やしたことに加え、3つの特徴的配列をターゲットに組み合わせを変える変異導入を行ったため、反復配列などが原因で変異導入に予想以上の時間を要し遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
発現に成功した部分置換組み換えデハイドリンタンパク質を用い、食品の物性に関与する他のタンパク質機能に与える影響を解析する。さらに、タンパク質系食品中における部分置換組み換えタンパク質の局在と食感との関連性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より部分置換体の組み換えパターンを増やしたため、より詳細な比較解析が可能になったが、実験の進捗状況としては全体的に遅れており、結果的に本年度予定していた学会での発表や論文投稿には至っていない。これらの理由により生じた次年度使用額については、令和6年度に行う実験の試薬等の購入費および論文投稿に使用する予定である。
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