研究課題/領域番号 |
20K02334
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
中村 久美 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (80240860)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 住居管理 / 超高齢期 / リフォーム / 住み替え / アクティブシニア / 住生活 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、超高齢期を見据えた将来の住まいについての、いわば居住空間の管理と、そのための現住まいの維持管理、および住まいを内実化する生活財管理の実体と意識を明らかにすることである。当然、住み方調査に際しては、居住者の年齢層が、本研究の目的に適合するような住宅地を調査対象地域に選定する必要がある。 具体的には、国土交通省が住環境の管理能力が高いアクティブシニアとして位置付ける65~75歳を中心に、その前後の年齢層の居住が多く見込める成熟した戸建て住宅地として、過去の科研研究で調査対象とした、宇治市の郊外住宅地を対象地域として、住み方調査を企画した。調査内容として、住まいの維持管理の現状や超高齢期の住まいに対する意識や住情報への要求、および生活環境を実質化する生活財の管理と関係する問題意識等についての設問を計画、約4か月かけて調査票を作成した。その後、本研究調査に関して、「京都ノートルダム女子大学研究倫理審査委員会」に倫理審査受審の申請を行い、9月25日付で研究調査実施の承認を得た。 調査に際しては、当該住宅地の自治会およびまちづくり協議会に事前説明のうえ、調査の趣旨や配布、回収のスケジュールを事前に周知し、調査協力を呼びかける書面の回覧を依頼した。実際の調査は800戸余りの対象住宅地に対し、長期不在や空家を除く779戸に調査票をポスティング配布し、回答を郵送返送する形式で実施した。調査期日は2020年10月24日および25日。返送期限とした11月末日までに有効サンプル数340を得た。 年内にデータ入力や自由記述の整理を行ったのち、1月以降、集計、分析を実施、次年度にかけて継続して分析していく予定である。なお、すでに一定の分析を終えた部分について、先行して学会発表するために、家政学会、建築学会への発表申し込みを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①新型コロナウイルス感染の影響を受け、大学ガバナンス業務が大きく制約され、出張等がキャンセルされる中で、むしろ本研究に関わるエフォートを当初より高くすることができ、調査票の作成や調査対象地域との交渉、機器や消耗品など調査に必要な初品の準備、調達に時間を割くことができた。②調査対象住宅地を、過去(5年前)の科研研究において調査対象とした地域に設定したことで、調査の協力依頼の交渉が比較的スムーズにできた。③住み方調査そのものは、戸別の郵便受けに調査協力依頼文を添付した調査票と、回答後の郵送返送用の封筒をポスティングし、回答後郵送返送する形式としたため、調査時の住民との間の濃厚接触等を回避でき、調査を実施、問題なく遂行できた。 以上より、1年目の作業としては、ほぼ当初の研究計画通りにすすめられた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度実施した住み方調査は、内容的に大きく2つに分かれる。①住まいの維持管理の状況や見通しと関連して将来の居住空間への希望意識、②生活空間として住まいを実質化する住宅内の生活財の処遇について、これまでの生活財管理の状況と超高齢期以降、寿命を全うした後の処遇を見越した今後の生活財管理に対する考え、以上の2点である。 引き続き、調査結果の分析をすすめながら、まず①の内容について日本建築学会、および日本家政学会にて研究発表を行い、その結果をふまえて論文投稿の準備をすすめる。同時に調査協力いただいた住宅地に対し、調査の概略を報告する機会をつくり、結果の還元を行う。当該住宅地に設置されているまちづくり協議会主催の研究報告会という形式をとり、研究報告を行い、その際、協議会関係者および一般の参加住民と意見交換を行うことで、その住民意見を研究考察に活かすと同時に、戸別ヒアリングへの協力を依頼する予定である。 協力を承諾いただいた世帯に対しては、戸別に訪問し、住まいの様子を実際に観察しつつ、管理の実体や将来に向けての計画や見通しについて、ヒアリング調査を実施する。ただし、報告会の開催は2学会の研究発表修了後、早くて9月下旬ごろを予定しているが、そのころの新型コロナウイルス感染の状況次第で、時期を遅らせる必要が出てくる可能性がある。さらに、報告会後のヒアリング調査についても、同様の事情で予定通り実施できるかどうかはわからず、流動的である。報告会にしてもヒアリングにしても代替案は考えられず、2年目の研究計画は大きく変更し、3年目に持ち越すことも視野に入れている。
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