高齢期に入ってからの30年の居住生活を考えたとき、ほとんどの高齢者が住み慣れた我が家に継続して暮らすことを望んでいるが、そのための維持管理は十分とはいえない。また暮らしを実質化する生活財も長年の暮らしに蓄積され、居住性や安全性に支障をきたしている状況がある。住空間の選択と住宅維持管理、および生活財管理は、人生100年時代を迎えた日本では、高齢期の安定的な居住生活にとって最重要事項といえる。同時に住宅とその中の諸々のモノを含めた生活環境をまるごと引き継ぐ次世代のためにも、さらにはその住まいを抱える地域にとっても無視できない事であり、その問題を総括的に取り上げる本研究の意義は大きい。
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