研究課題/領域番号 |
20K02336
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
東 実千代 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10314527)
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研究分担者 |
大友 絵利香 畿央大学, 健康科学部, 講師 (20524961)
久保 博子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (90186437)
佐々 尚美 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (50379525)
小濱 朋子 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (50736014)
磯田 則生 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (60016871)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / フレイル / 熱中症 / 温熱環境 / 介入 / 行動変容 / 生活習慣 |
研究実績の概要 |
最終年度である2022年は、研究計画に基づき、自立して生活する奈良県都市部在住の高齢者と農村部在住の高齢者、比較対照の大学生を被験者として、室内温熱環境の可視化ツールを使用した介入調査を実施した。概要は以下の通りである。 【室内温熱環境の可視化ツール】ツールには温度により色が変化する感温印刷を用いた。これまでのツールに対する使用感アンケートの結果から、インクを色変化が5℃範囲である従来タイプから2℃範囲の高感度タイプに変更した。作製したツールは熱中症のリスクが高まる29℃~31℃で精度よく色変化し、反応速度も良好であることを人工気候室において確認した。さらに、ユニバーサルデザインの視点からデザインや使用色を一新し、誰もが日常的に使用するティッシュケース、多様な使用方法が選択できるフレキシブルツールの2種類とし、複数の色が変化する仕様とした。 【介入調査】2022年夏期に、被験者の居間と寝室に室内温熱環境の可視化ツールを設置してもらい、日常生活やツール使用感に関するアンケート調査を実施した。同時に室内の温湿度を自動計測するとともに、生活行動記録をつけてもらった。被験者の健康状態の目安としたフレイル度は、昨年に引き続き基本チェックリストを用いて調査した。 その結果、高齢者では設置したツールを毎日見るという回答が多く、暑熱環境や熱中症を意識するきっかけとなり、温度調節をこまめに行なうなどの行動変容がみられた。また、フレイル度が進行した高齢者は自発的な環境調節行動をとりにくい傾向が確認され、温度計による環境確認に至る前段階として、日常生活に温熱環境の可視化ツールを取り入れることは、環境に対する気づきの機会の創出と高齢者の暑熱環境に対する意識の向上に寄与し、適切な環境調節行動を促す効果が期待できると考えられた。
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