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2021 年度 実施状況報告書

アミン酸化酵素とアルデヒド酸化酵素の共役反応によるヒスタミン中毒予防技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K02338
研究機関国立研究開発法人水産研究・教育機構

研究代表者

臼井 将勝  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 准教授 (50399656)

研究分担者 足立 収生  山口大学, その他部局等, 名誉教授 (20027189)
河邉 真也  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 講師 (60579415)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードヒスタミン / アミン酸化酵素 / アルデヒド酸化酵素複合体 / 出汁
研究実績の概要

昨年に引き続き、ヒスタミンをImidazole 4-acetaldehydeへと変換するアミン酸化酵素FAO、およびImidazole 4-acetaldehydeをImidazole-4-acetic Acid(I4AA)へと変換するアルデヒド酸化酵素複合体ALOXを容易に製造できる体制構築に取り組んだ。麹(FAO)および酢酸菌(ALOX)の超音波破砕条件を再検討することで、両酵素の抽出効率を高めた。さらにFAO産生の誘導物質であるn-ブチルアミンを他のアミンへ代替することの可能性についても検討した。その結果、FAO産生誘導においてアミン添加は必須であり、カダベリンで代替可能であることが明らかとなった。ただし、カダベリン誘導時の酵素産生量はn-ブチルアミン誘導時の1/2に低下した。
さらにFAO/ALOX系によるヒスタミン消去の応用例を示すために、出汁顆粒中のヒスタミンの消去を試みた。市販されている風味調味料4種を用いて、各出汁溶液に250 nmol/mLとなる様にヒスタミンを添加してヒスタミンが高濃度に発生した出汁溶液を模した。同溶液にFAOおよびALOXをそれぞれ0.025 unit/mLとなる様に加え、20°Cにて酵素処理した。HPLC分析にてヒスタミン消去およびI4AA生成量を測定した結果、各出汁中のヒスタミンは,酵素処理10分後に1/2~2/3が消去され,24時間後までに大半が消失した。I4AA生成量は、こんぶ出汁といりこ出汁で24時間後までに添加したヒスタミンの同量のI4AAが生成された。他方、あご出汁とかつお出汁ではそれぞれ4/5,3/4に留まった。以上の結果より,適切なFAOおよびALOXの添加によって出汁中のヒスタミンを消去できることが示唆された。
さらに、市販の大根塩漬の漬け汁にFAO/ALOXを添加することで製品の臭いを改善できる可能性を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年未達成となった部分も含めて、当初の予定通り遂行するすることができ、良好な成果を得ることができた。
酵素製造の効率化では湿重量1gの菌体あたり、前年比でFAOが約10倍、ALOXが30倍の製造効率となり、さらにFAO誘導物質(n-ブチルアミン)の問題解決の見通しを得た。
FAO/ALOXの社会実装に向けた応用例の提示においても、1昨年に食中毒事例が起こった出汁製品への適用とその効果について検討し、有効性を明らかにした。
さらにアミン消去による食品の臭い改善についても、効果を期待できる知見を得ている。
以上を総合して、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

令和4年度はALOXのImidazole-4-acetic Acid生成の遅延原因について検討し、より正確にFAO/ALOX系を運用できることを目標とする。これを達成するために必須となるALOX基質のImidazole 4-acetaldehydeは市販されていない。そのため、定量分析が可能な標準品を得ることを目指す。具体的には既知濃度のヒスタミンからFAOにて製造し、標準品として用いる計画である。
加えて、出汁や干物など実際にヒスタミンが高濃度かつ高頻度に発生する食品への応用例の充実を図り、社会実装に資する情報やノウハウを得ることを目指す。
さらに、FAO/ALOXのアミン臭軽減または改善効果について、カダベリン、スペルミン、プトレシン、トリプタミンなど異臭の原因となるアミンをモデルとして、FAOによる酸化活性や対応するアルデヒドへのALOXの有効性など基礎的知見を得る。また、これらの単独または混合溶液ついて、FAO/ALOX処理の前後での臭いの変化を電子嗅覚装置(SAS)を用いて客観的に分析することも試みる予定である。

次年度使用額が生じた理由

所属機関の契約依頼・会計処理ルールにより、2~3月の物品購入が不可能であるため、この間に実施すべき物品購入を4月以降に延期せざるを得なかったため次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は、本課題におけるアミン類等のHPLC分析や臭い分析、麹および酢酸菌の継代培養などで継続的に必要な物品の購入費として使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アミン酸化酵素とアルデヒド酸化酵素の共役反応による出汁中ヒスタミンの消去2022

    • 著者名/発表者名
      石原 瑞希 、河邉 真也 、足立 収生 、臼井 将勝
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度大会

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公開日: 2022-12-28  

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