研究課題
基盤研究(C)
液体食品の嚥下時の食塊の流れすなわち咽頭部における喉頭蓋周りの液流れを,溝型の流路に障害物としての円柱を取り付けた構造の模型とゲートによる流れの制御で表現することを試みた.ゲートによる操作条件である堰止時間と流れ抵抗で嚥下反射の良否と飲込力の程度の相違を想定した.模型操作による流動実験は正常な嚥下と嚥下困難者の嚥下を表現した.嚥下の補助や誤嚥の防止に用いられるとろみ付き液体食品がもつ粘性または弾性が誤嚥防止にどのように作用するかを考察した.
食品工学
病気や高齢による嚥下困難者に関する問題は人口の高齢化と関連し,その解決は大きな意義をもち,医歯学,看護介護学,生活(食品)科学,理工学などの広い分野で取り上げられている.それぞれの分野でアプローチは異なるが,共通する志向は,嚥下困難者と向き合う医療現場での安全性の向上である.工学的なアプローチは,複雑な嚥下プロセスを適当に表現し,現象の予測の結果を問題の解決に役立てることである.本研究の成果は,栄養の管理,指導さらには治療のためのデータとしての活用へ展開するという潜在性を有するものである.