研究課題/領域番号 |
20K02345
|
研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
小木曽 加奈 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (30435284)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ジビエ / シカ / イノシシ / エキス化 / 呈味 / 機能性 |
研究実績の概要 |
本邦の食料資源を確保・活用し、食料自給率を上昇させる手法の1つとして、未利用の野生鳥獣肉の消費拡大が挙げられる。ジビエの有効活用はSDGs(持続可能な開発目標)の理念とも合致し、消費拡大のための基礎・応用研究が求められている。今年度は①エキス化、発酵などの加工方法の検討のほか、②加工品の二次機能(美味しさ)、機能性の検討を目標とした。 まず①のシカ肉の未利用部位やシカ肉以外の野生鳥獣の加工品について、新たな加工方法を検討した。加工特性の検討として機能性を有する調味料としての可能性を探るべくシカ肉のほか、イノシシ肉について酵素や麹を用いた高圧処理でエキス化を行った。エキス化については2000気圧、50℃~60℃、24時間でおおよそエキス化が可能になった。一方、シカの未利用部位として角の粉末化の検討を行った。角は簡易に粉末化が可能であり、今後の利用方法として期待ができることが示された。 次に②として二次機能(美味しさ)、機能性について評価することとした。作成したエキスを感性評価解析装置にて分析を行った。味は醤油のような調味料にするには苦味が強く、塩味や酸味が少ないことがわかった。しかし、乳酸や食塩を添加することでこれらはカバーできる可能性が高く、新たな加工法として検討できることが示唆された。ただ苦味があるため今後はエキス化の方法をもう少し検討したい。機能性の検討として抗疲労作用を有するとされるイミダゾールペプチド(アンセリン、カルノシン)を検討した。高圧処理したものについてはこれらの機能性ペプチドがシカ、イノシシともに増加しており、機能性素材として期待が持てることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で加工方法の検討と機能性の検討に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
エキス化ができたものについては機能性についてさらに検討を行う。エキス化したものの苦味を取る方法については麹を用いた酵素処理を検討し、苦味の主要成分であると考えられる苦味ペプチドが生じないような方法を考えていく予定である。 また節類加工などに検討を現在行っているため、これらの加工品についても美味しさや機能性について検討を順次進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスなどの影響で実験等に遅れが出ていること、旅費が少なくて済んだことがその理由である。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、次年度は加工方法の更なる検討のほか、機能性を様々な角度から検討する予定であり、支出が見込まれる。
|