研究課題/領域番号 |
20K02345
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
小木曽 加奈 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (30435284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シカ肉 / ジビエ / 肉醤 / 醤油 / 抗疲労 / 長寿効果 |
研究実績の概要 |
シカ肉を用いた肉醤加工の検討を行い、その官能的評価(機器・ヒト)と全窒素量を測定した。肉醤エキスは、200MPaの高静水圧でプロテアーゼを添加して作成した。作成した肉醤エキスについて感性評価解析装置で分析したところ、醤油としては塩味と酸味が少ないことがわかった。そこで予備試験として塩化ナトリウム・乳酸等を添加し、醤油として使用できるよう調味した。この調味した肉醤エキス試料について濃口醤油をコントロールとして色・香り・味について官能試験を行った。色はコントロールと比べて有意に薄かった(p=0.0117)。香りは醤油らしくなく(p<0.0001)、ジビエっぽさが特徴(p<0.0001)であった。味について、総合評価が有意に低かった(p=0.0349)ものの、その他コントロールと比べて味の濃さも含め差がなかった。全窒素量を測定したところ、醤油の一般的な値より高く、2.68%であった。 さらに、調味していない肉醤エキスの抗疲労・長寿性を線虫で評価した。抗疲労性は肉醤エキスを含む培地と含まない培地で培養し、絶食後、線虫の好むジアセチルを置き、線虫の移動距離を測定した。肉醤群で有意に移動距離が増加し(p=0.0263)、肉醤エキスが疲労を軽減する可能性が示唆された。長寿効果は、肉醤エキスを含む培地と、シカ肉からの抽出液を含む培地と、何も含まない培地でどの程度生存率が上がるかを検討した。その結果、シカ肉抽出液はコントロールより有意に寿命が長く(p=0.0057)、肉醤エキスはコントロールよりも有意に寿命が長く(p<0.0001)、シカ肉よりも肉醤エキスは、さらに有意に寿命が延びた(p=0.0241)。以上のことから、シカ肉の肉醤加工が醤油のような食品として利活用可能になった。また抗疲労・長寿性という機能性についても示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で、研究遂行について想定以上に時間が掛かったこと、研究実施場所の変更により、時間が掛かったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
加工品は完成したため、今後はその機能性についてより検討を行う。 1年間研究期間を延長したため、機能性の中でも、ACE阻害や抗酸化能などの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、実験の遅れが生じたため、来年度1年研究を延長した。そのため翌年度分が発生した。
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