研究課題/領域番号 |
20K02346
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
谷本 昌太 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (80510908)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 次世代シーケンサー / 貯蔵 / 魚 / 揮発性成分 / 脂質酸化 / 菌叢解析 / 腐敗 / トリメチルアミン |
研究実績の概要 |
本研究では、異なる貯蔵条件(冷蔵、氷蔵およびスーパーチルド(SC))で腐敗に至るまで貯蔵したブリ肉各部位(普通肉および血合肉)の菌叢変化および品質(生菌数、脂質酸化指標、腐敗指標および揮発性成分)の変化を明らかにすることを目的とした。 冷蔵、氷蔵およびSCの普通肉および血合肉の一般生菌数は、いずれもそれぞれ貯蔵14、21および50日目に初期腐敗の値となった。また、SCが、一般生菌数だけでなく各腐敗指標菌の増殖を遅延可能であった。いずれの試料の揮発性塩基性窒素も貯蔵期間を通じて腐敗の指標である30 mg/100gを超えなかった。トリメチルアミンは、いずれの貯蔵温度も血合肉は、貯蔵6または7日目に許容限界を超え、貯蔵条件間の差はほとんど無かった。血合肉のチオバルビツール酸反応性物質に対して,SCが増加抑制効果を示さなかった。 菌叢解析の結果、α多様性指数は、いずれの貯蔵温度も貯蔵により有意に減少し、SCが他の貯蔵条件と比べてその減少に日数を要した。貯蔵日数の増加に伴い、属レベルではPseudomonas属が優勢になった。また、冷蔵および氷蔵で、Acinetobacter属も貯蔵中に存在比を増加させた。クラスター分析では、SCの腐敗後の菌叢が冷蔵および氷蔵のそれらと異なることが示唆された。主座標分析では、貯蔵温度や筋肉の種類に関わらず、貯蔵初期の多様な菌叢が、貯蔵期間の延長に伴って特定の属の細菌が増殖し、優勢となり類似の菌叢になることが示された。一方、冷蔵の場合は、腐敗に至るまでの菌叢の変化挙動が他の条件と異なることが示唆された。 以上の結果から、SCは、ブリ肉の腐敗の遅延可能であるが、脂質酸化抑制効果はないことが示唆された。また、いずれの貯蔵温度も特定の属の菌の増殖により腐敗が進行するが、貯蔵温度の違いにより、腐敗に至るまでおよび腐敗後の菌叢は厳密には異なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスによる影響により,当初予定していた一部の実験の実施が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
遅れている部分について,人役を重点的に投入することにより遅延している項目について早急に実施する
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次年度使用額が生じた理由 |
交付決定額が当初の予定より少なかったため、次年度の研究に支障がないように慎重にかつ適切な予算執行に努めた。また、コロナウイルスの影響で研究の進捗 がやや遅れているため、それに関わる支出が少なかった。この結果として、次年度の使用額が生じた。
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