研究課題/領域番号 |
20K02350
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
藤井 恵子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20186480)
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研究分担者 |
林 典子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (30775870)
海老澤 元宏 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), アレルギー性疾患研究部, 部長 (30338876)
藤井 智幸 東北大学, 農学研究科, 教授 (40228953)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 雑穀 / グルテンフリー / 非常食 / キヌア / 大豆粉 / 物性 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究では、主要アレルギー原因物質(鶏卵、牛乳、小麦)を含まない食物アレルギー患者の災害時の非常食にもなり得る、機能性に優れた健康志向型食品を開発し、実用化を目指すことを目的とした。昨年度、試料としてキヌア、アマランサスの各雑穀を粉末化させ、豆乳と複合化させて含泡食品を創製し、それを乾燥させラスクの特性を検討した結果、キヌア主体のラスクは硬く、サクサク感に乏しいことが明らかとなった。そこで、今年度はキヌア粉に大豆粉を添加して、物性及び嗜好性に与える影響を検討した。 【方法】キヌア粉、大豆粉、グラニュー糖、ドライイーストを原料とし、キヌア粉と大豆粉を100:0、75:25、50:50、25:75、0:100で混合した。35℃の発酵機で30分間発酵後200℃のオーブンで30分間焼成して含泡食品を調製した。25℃に放冷後、生地の粘度、含泡食品の比容積、破断特性、テクスチャー特性、静的粘弾性、水分含量、きめの評価を行い、またシェッフェの一対比較法の官能評価を実施した。 【結果】含泡食品の最適加水量は、大豆粉の割合が高くなるほど多くなった。キヌア粉に大豆粉を添加することで、含泡食品の気泡平均面積は大きく気泡数は少なくなり、大豆粉を50%混合したとき最もきめが粗くなった。破断特性ではキヌア粉に大豆粉を添加することで圧縮時応力、みかけの弾性率は高値となったが、大豆粉100%の含泡食品はキヌア粉100%の含泡食品よりも低値となった。テクスチャー特性では、大豆粉100%の含泡食品はキヌア粉100%より凝集性が小さい一方、付着性が大きく、混合系の含泡食品はさらに凝集性が低下し付着性が増大した。官能評価の結果より、キヌア粉100%の含泡食品は独特な苦味があったが、大豆粉を25%混合することで苦味は抑えられた。大豆粉を25%混合した含泡食品は香り、風味が嗜好的に好ましいと評価された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、食物アレルギー患児を持つ保護者を対象に、食生活及び食物アレルギー対応食品についての実態調査を行っておらず、制約を受けている実情、非常食についての問題点をまだ抽出できていない。
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今後の研究の推進方策 |
①食物アレルギー対応非常食の保存性・受諾性の評価及び品質改善の検討(日本女子大学 藤井、十文字学園女子大学 林)開発した非常食について、温度・湿度の異なる条件下で長時間保存し、力学物性、老化特性、ガラス転移温度を測定し、保存性を評価する。また、受諾性について検討したうえで、小売店等に提案し、商品化を目指す。 ②食物アレルギー対応保存食の社会実装性の評価(相模原病院 海老澤、十文字学園女子大学 林)食物アレルギー患児を持つ保護者を対象に、食生活及び食物アレルギー対応食品についての実態調査を行う。 ③雑穀の栄養機能特性、タンパク質の存在状態の解析(東北大学 藤井)フーリエ変換赤外分光器でタンパク質の存在状態を解析し、セル構造補強効果に関わるタンパク質の複合化作用について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における医療機関の非常事態により、食物アレルギー患児の実態調査が行われなかったため、次年度に実態調査を行う予定である。
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