研究実績の概要 |
【目的】これまでの研究で明らかになった、栄養価が高いキヌア粉と大豆粉を混合したラスクの特性を活かし、その保存性について、温度、湿度の異なる条件下で長期間保存し、保存条件の影響を明らかにすることで、アレルギー対応非常食としての社会実装を目指すことを目的とした。 【方法】試料はキヌア粉100%(Q100)、キヌア粉と大豆粉50%ずつ(Q50 S50)、大豆粉100%(S100)の雑穀パンを、120℃で30分間焼成してラスクを調製し、10℃,25℃,40℃で1,7,14,28日間保存した。ラスクの水分含量、水分活性、力学特性として曲げ試験、破断特性を測定し、さらにクリスプネスインデックス(CI)を算出し、サクサク感を評価した。 【結果】ラスクの水分含量はQ100では約4~6%、大豆粉添加試料では約7~9%となり、大豆粉が入ると高くなった。水分含量は10℃および25℃保存ではほとんど変化しなかったが、40℃では7日後に減少した。一方、水分活性は全ての保存条件においていずれのラスクも約0.2~0.35となり、クラッカーなどの乾燥食品の水分活性と近い値を示した。また水分活性は、全ての保存温度帯で28日間保存してもほとんど変化しなかったことから、28日間は腐敗しにくく、ラスクとしての品質が保たれることが示唆された。ラスクの破断応力、破断エネルギーは25℃、40℃保存において、Q100が最も低値を示し、次いでS100となり、Q50 S50が最も高値となった。いずれの試料も経時的に硬くなる傾向を示し、保存温度が高い方がその変化は大きかった。 以上の結果より、キヌア粉と大豆粉を用いたラスクの物性は、低温に保持した方が変化は小さく、乾燥食品としての品質が保たれることが示された。
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