本研究の目的は、「こどものまち」にSDGsを取り入れた体験型消費者教育プログラムを開発し、その効果を検証することである。毎年90万件近い相談が寄せられる消費者被害を防ぐためには、消費者が正しい知識に基づき主体的に意思決定や選択をできるようにする教育が必要である。ドイツのミニ・ミュンヘンは、仮想の街の中で職業を選択し、給料の使い道を考えたり、選挙で投票したりする機会が設けられるなど、消費者としての意思決定の機会が多くみられる。この活動を模倣した「こどものまち」は2002年以降、日本各地で広がりをみせている。ここでは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)において、日本の取組は5項目が低いという課題に着目し、持続可能な消費の実現を目指す消費者教育においてより効果的な教育プログラムを開発し、持続可能な社会へとつながる「こどものまち」モデルの効果を検証するための調査研究を行った。 本年度は研究計画の基づき、「こどものまち」を用いたSDGsプログラムを開発するとともに、SDGsプログラムの施行および効果の測定を行った。これまでの視察やヒアリング調査結果を踏まえて「こどものまち」を用いたSDGsプログラムを完成させ、名古屋市内の放課後児童クラブにて実践を行った。ここでは、「消費者教育の体系イメージマップ」の10項目の到達目標を指標とし、評価の分析を行った。子ども達への事前の会議を昨年は1回、今年度は3回に分けて実施したところ、同じ時間でも1回で集中的に行った方が、教育効果が高いことが明らかとなった。特に、持続可能な消費に関する項目ではや約10ポイントの違いがみられたことから、プログラムの内容のみならず、実施方法の違いが影響を及ぼすことがわかった。
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