本研究は、「ひとに安心感や愛着を与えるテキスタイルデザインが明確になれば、心の「癒し」に働きかける効果をもたらすことができるのではないか?」という学術的問いの解明である。「癒し」と強い相関を持つ評価語は、視感・触感評価共に嗜好や心地よさ、また布の柔らかと関係が強い。「癒し」と最も相関の高い物性は表面特性であり、布構造では、ファーやパイル構造で、指の動きに対する柔軟な変化が有効である。人が指を動かしながら感じる「癒し」の評価に、指と布間の接触振動の変化を示す特性値(Delta power)を設定した。その結果、Delta powerの値が小さい試料ほど、「癒し」を強く誘発していることがわかった。
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