研究課題/領域番号 |
20K02373
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
松本 晋也 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (30263156)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Caenorhabditis elegans / starvation / epigenetics / histone |
研究実績の概要 |
生活習慣病胎児期起源説(Fetal Origin of Adult Diseases:以下FOAD説)とは,胎児が子宮内で低栄養などに曝されると遺伝子発現パターンが恒久的に変化することによる体質変化が引き起こされ,成人後の生活習慣病発症リスクが高まるという仮説である。申請者は,これまでにCaenorhabditis elegans(以下線虫)が飢餓を経験するとその子世代線虫の脂肪量がふえることを見いだし,FOAD説が線虫でも成立することを示すとともに,このような変化がヒストンのメチル化を介したエピジェネティクスにより引き起こされる可能性を見いだした。2020年度は,FOAD説のメカニズム解明の手がかりをえるため子線虫のどの遺伝子が,どのようにエピジェネティクス制御を受けるのかをヒストンのメチル化に絞って解析をおこなった。具体的には,ヒトの胎児期に相当する線虫の卵ステージ(胚発生)におけるヒストンメチル化遺伝子(7個),およびヒストン脱メチル化遺伝子(20個)の発現をRT-PCRで解析した。比較は,それぞれ飢餓を経験した線虫,および飢餓を経験していない線虫から生まれた子線虫同士で行なった。 飢餓を経験した親から生じた子線虫卵(胚発生)では,ヒストンメチル化遺伝子と脱メチル化遺伝子の発現は共に亢進する傾向が認められた。この結果は,線虫の親線虫が経験した飢餓体験の影響がヒストンのメチル化を介して,線虫の胚発生中にエピジェネティクス変異をもたらす可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は,コロナ禍のため,この研究の研究協力者(学生)が秋まで大学に来られなかったため,当初の計画通りに研究を進めることができなかった。また,職員に対しても自宅勤務が推奨されたため,研究代表者自身も十分に実験,研究に従事できなかったことが遅延要因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度もコロナ禍のため,研究のために十分な要員と時間を確保できない恐れがある。したがって,外部に解析を委託することを念頭に短期的,集中的に研究費を投入して成果を上げる予定である。具体的には,研究申請者が所属する大学で行う予定だった研究内容に関わる消耗品費・物品費を外部解析委託委託によるChIP-Seq法に充て,当初予定していた研究目的を達成することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,当初予定していた国際学会参加,物品購入が計画通りに遂行できなかったため,かなりの額を次年度に繰り越さざるをえなかった。
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