研究課題/領域番号 |
20K02376
|
研究機関 | 山梨学院短期大学 |
研究代表者 |
萱嶋 泰成 山梨学院短期大学, その他部局等, 教授(移行) (90365453)
|
研究分担者 |
今井 伸二郎 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (50629152)
小林 公子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (90215319)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 食情報 |
研究実績の概要 |
培養細胞におけるサーチュイン遺伝子活性化を指標として、カカオ抽出物より活性化因子のスクリーニングを行い、脂溶性画分から強い活性を示す画分が得られた。この画分を更に精製した結果、候補因子は脂肪酸トリプタミドの一種であることを明らかにした。その脂肪酸トリプタミドが多細胞生物においてもサー チュインの活性化による老化抑制作用、寿命延長作用をもたらすのかについて、ショウジョウバエで検証したところ、老化抑制作用と寿命延長作用を有していることを明らかにしていた。今年度は、網羅的な遺伝子発現解析で脂肪酸トリプタミド摂取特異的に発現量が変動する遺伝子、遺伝子群があるのかを調べた。羽化後12時間以内の未後尾成虫を雌雄別に3群に分け、脂肪酸トリプタミドを含まない餌、脂肪酸トリプタミドを含む餌でそれぞれ12日間飼育し、トータルRNAを抽出して次世代シーケンサーにかけた。その結果、トリプタミド摂取特異的に発現量が変動する遺伝子を明らかにした。遺伝子を機能や関連する代謝経路でカテゴライズしたKEGG Pathway というパスウェイ情報を用いて遺伝子セット解析を行ったところ、113のグループの中でただ一つ、寿命制御に関わるパスウェイだけが脂肪酸トリプタミド含有餌での飼育群特異的に、発現量が顕著に変動していた。特に、ヒートショックタンパク質の遺伝子群について、脂肪酸トリプタミド含有餌での飼育群特異的に、顕著に発現増加がみられる遺伝子が多くみられた。結果、脂肪酸トリプタミドには、ショウジョウバエ成虫においてサーチュイン遺伝子の発現量を増加させ、恐らくサーチュインに関わる寿命関連遺伝子群を活性化させ、ヒートショックタンパク質を常時高発現させることで、老化抑制・寿命延長をもたらす作用を有しているという可能性を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に単独で研究を遂行し、学生の関与が少ないため、新型コロナウイルス感染拡大防止措置による学生の行動制限の影響を受けなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
脂肪酸の燃焼にかかわるとされているが、摂取による生理活性作用が明らかとなっていないある食品成分 / 生体成分について、ショウジョウバエ摂取による機能解析を行う。既に予備実験を行い、その結果から、脂質の代謝促進や運動への関与が示唆されているため、大規模かつ具体的な解析手法でその関与を調べていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた計画に対して、特に物品(消耗品)の使用が抑えられたため。
|