研究課題/領域番号 |
20K02378
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
森 康貴 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90734294)
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研究分担者 |
尾畑 納子 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (60201406)
小野 岳史 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 国際感染症学, 助教 (20535182)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 金属ナノ粒子 / 抗菌活性 / 抗ウイルス活性 / 繊維製品 / 色彩 |
研究実績の概要 |
銀ナノ粒子は抗菌活性のみならず、その粒径に応じてA型インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含む多くのウイルス種に対して抗ウイルス活性を示すことが知られている。抗ウイルス活性の発現メカニズムは主に、適切な粒径を持つナノ粒子のウイルスのスパイク部分への吸着である。一方で粒子のナノサイズと形状に由来する表面プラズモン共鳴による発色は不可避であり、特に繊維等に抗ウイルス活性を発現する粒径の銀ナノ粒子を固定化した際に生じる清潔感のない黄~茶色の着色は、衛生・生活関連用途への適用の際に問題となる。昨年度はこの色彩の問題を解決するため、銀ナノ粒子の代替として銀を含む二元金属ナノ粒子を合成し、綿繊維に固定化を試みたところ、発色の抑制が実現されたことに加えて、ナノ粒子固定化綿繊維は大腸菌に対して銀ナノ粒子と同様に抗菌活性を発現することが確認できた。 今年度は、このナノ粒子固定化綿繊維についてA型インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を評価したところ、銀ナノ粒子固定化綿繊維についてはほとんど抗ウイルス活性は発現されなかった一方、二元金属ナノ粒子固定化綿繊維については弱い抗ウイルス活性が発現した。ナノ粒子固定化綿繊維を超薄切片化して電子顕微鏡観察を行ったところ、繊維表面に抗ウイルス活性を発現する粒径のナノ粒子が凝集せずに固定化されていたことから、抗ウイルス活性をさらに高めるためにはナノ粒子の固定化量を増大させる必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗ウイルス活性の発現は実用的レベルでなかったものの、その理由が固定化量の問題と明確であることから、進展は順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ粒子固定化量の増大については、添加ポリマーの試行範囲を広げて調査研究を行い、繊維の表面改質についても検討する。また、色彩の評価についても実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により研究打ち合わせ等の出張が困難となり旅費の支出を行わなかったため、次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額は、当初の計画では予定されていなかった内容である、ナノ粒子吸着量のさらなる増大を目的とした繊維の表面改質を行うための装置、器具および試薬に充当する。
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