研究課題/領域番号 |
20K02381
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
李 秀眞 弘前大学, 教育学部, 准教授 (30588926)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超高齢社会 / 社会保障 / 老後生活認識 / 高齢者ケアセンター |
研究実績の概要 |
今年度の成果は、①学術論文の学会誌への掲載、②学会における研究発表、③日韓の高齢者ケアセンターに対する資料収集の3つである。第1に、学会誌へ1本の学術論文を掲載した。日本の社会保障に対する期待認識と老後生活認識について、年齢階層別の違いに注目した研究を進めた。①『超高齢社会日本の社会保障に対する期待認識と老後生活認識-年齢回答別の差異に注目して』((家族資源経営と政策、27(3) pp.39-52)では、生命保険文化センターの生活保障に関する調査データを用いて、年齢階層別に‘社会保障に対する期待認識’と‘老後生活に対する認識’がどのように異なるのかについて分析した。分析結果、すべての年齢階層で、公的健康保険に関する期待水準が他の社会保障に対する期待水準より高いことが明らかになった。また、年齢階層が高くなるにつれて、公的健康保険で医療費を賄うことができるという期待認識は低くなることが確認された。また、社会保障制度に対する期待が老後生活認識に与える影響は、公的健康保険の期待水準が老後生活認識にポジティブな影響を与える重要な要素であることが確認された。第2に、韓国家族資源経営学会2023オンライン秋季学術大会において、『日本社会の少子化対応の現状と課題―韓国社会への示唆点-』について研究発表を行った。2023年3月31日に公表された、「日本の異次元の少子化対策」について紹介した。また、今まで、政策施行後の効果についての評価がなされていないことを指摘した。したがって、少子化対策を実際に少子化現象を解決する方向にいかせるためには、政策実行後の政策検証が必ず必要であることを強調した。第3に、日本と韓国の高齢者ケアセンターの現状および普及した背景についての文献考察を行った。現在、引退後に高齢者ケアセンター等の利用者を対象に聞き取り調査を進める準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活保障の実態と期待認識、老後認識が捉えられる公開データ(調査主体は生命保険センター、データは東京大学社会科学研究所データアーカイブから入手)を用いて、社会保障が老後の生活にどのような効果をもたらしているのかについて研究を行った。また、高齢者ケアセンター等の高齢者施設が普及した背景についての文献研究を行い、それを踏まえて、高齢者ケアセンター等の利用者に対する聞き取り調査を計画することができた。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、高齢者ケア―センター等の高齢者施設について、利用状況、利用者層などの文献調査を行ったうえで、利用者を対象としたインタビュー調査を計画している。第2に、大量調査データ分析を通して、日本と韓国における高齢化の現状および高齢者対策の類似点および相違点に着目し、日本と韓国の二国間比較の観点から、引退・退職経験が高齢者の生活に及ぼす影響等についての分析を進め、学会発表を行ったが、それを元に学会誌への投稿・掲載を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年3月発行の学術雑誌への論文掲載料として支出を計画していたが、学会誌への掲載決定が遅れたため、差額が生じた。令6年度の前半に論文掲載料として充てる予定である。また、次年度のインタビュー調査およびSSCI英文論文掲載のために使用する予定である。第1に、インタビュー調査は、退職・引退者のうち、高齢者ケアセンター等の高齢者施設の利用者を対象に、利用した契機、利用満足度、生きがいとしてること、引退後必要とされる政策などに関しての調査を予定している。第2に、大量調査データをもとに、日本と韓国の二国間比較の観点から分析した論文をSSCIに掲載するために必要な経費として使用する予定である。
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