研究課題/領域番号 |
20K02389
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
山田 由佳子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20304074)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 前開きリフォーム / 前立て布 / 未就学児 |
研究実績の概要 |
本研究は、未就学肢体不自由児を対象として、その衣生活改善に焦点をあてたものである。初年度であるR2年度は、重度心身障がい者施設等に依頼し、未就学肢体不自由児の保護者等を対象としたアンケート調査を行う予定であったが、予想外の新型コロナウィルスの流行が起こったため、R2年度は令和元年度終了の就学児を対象とした研究(基盤研究C(17K00787))により重要度が高いことが明らかとなった衣服の前開きリフォームについての検討を行った。 当初は、初年度アンケート調査により明らかとなった衣服の不都合についての解決法についてR3年度に検討を行う予定であったが、前開きリフォームについては就学児による研究からもその重要度は明らかで、未就学児においても当然予想される問題点であることから、R3年度に予定していた作成方法の詳細な検討と、マニュアルおよびビデオの作成、学生20名による試作およびアンケート調査を行った。主な結果を以下に示す。 作成方法の検討については、前開きリフォームに使用する前立て布の種類について、手触り等ではダブルガーゼが最も好ましいとされたが、洗濯による寸法変化が最も大きく、洗濯による影響の少ないTCブロードを用いたリフォーム作品の評価を保護者対象に行う必要性が明らかとなった。作成したマニュアルとビデオを用いた試作では、仕上がりにやや問題がある者が半数以上いることがわかった。しかし、アンケートにおいて、半数以上がマニュアルやビデオにわかりにくい所があったと答えてはいるが、特に難しい所があると答えた者は5人であったことや、今後自分でリフォームしてみたいと答えた者が8割を占めたことからも製作そのものの難易度は低いと考えられる。以上の研究成果において明らかになった問題点を参考にマニュアルとビデオの改訂を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の応募時には予想できなかった新型コロナウィルスの流行により、施設へのアンケート調査をR2年度に行うのは断念したが、R3年に行う予定であった内容を前倒しにして対応した。しかし、当初の予定では未就学児の衣服の問題点をアンケートにより明らかにした上で行う検討の予定であったが、内容的には前開きリフォームについてのみの検討となってしまったことから、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R3年5月時点でも新型コロナウィルスは猛威をふるっており、肢体不自由児の保護者は皆不安と心配でアンケート調査を依頼するような状況ではないのではないかと危惧している。そこで、アンケート調査は最終年度のR4年度に流行がおさまっている事を期待して、再度延期することとする。 R3年度は引き続き前開きリフォームの指導方法について焦点をあてることとし、当初R4年度に予定していたオンライン指導等の方法の模索を行い、被験者に試作を依頼してオンライン指導の有効性を検証する。オンラインでの指導は現在の状況にも合致しており、今後のアフターコロナの社会においても必要な方法であると考えられる。 まずは、R2年度に得られたマニュアル、ビデオの問題点の改善を行い、オンライン用にも改定を行う。その上で、被験者には肢体不自由児の保護者である研究協力者、大阪教育大学学生、又は一般の保護者等に協力を請い、オンラインでの試作、作成方法の評価、およびオンライン指導の評価を行ってもらう。 以上のことから保護者が気軽にリフォームに取り組めるようになる条件を明らかとし、肢体不自由児の衣生活改善および保護者のQOLの向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では研究初年度であるR2年度にアンケート調査を業者を通じて行う予定をしており、70万の支出を予定していたが、研究応募時には予想できなかった新型コロナウィルスの流行により、R2年度のアンケート調査を断念し、R3年度に予定していたリフォームの検討を、前開きリフォームに着目する形で前倒して行ったことから、試作材料の物品費と試作補助としての人件費のみの使用となった。 本来であれば繰り越した金額を用いて本年度アンケート調査を行うべきであるが、今の時点でも新型コロナウィルスの流行が収まる気配がないことから、アンケート用の予算は来年度(R4年度)へ繰り越し、本年度はオンライン指導にかかる経費についてのみ支出する予定である。
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