研究実績の概要 |
本研究は、未就学肢体不自由児を対象として、その衣生活改善に焦点をあてたものである。申請当初は初年度のアンケート調査により未就学肢体不自由児の衣服の不都合について明らかとした上でその解決法を探る予定であったが、申請時に想定できなかった新型コロナウィルスの流行のため、研究計画を変更し、特別支援学校に通う肢体不自由児を対象とした研究(平成30~令和元年)で重要度が高いことが明らかとなった前開きリフォームの再検討をR2,R3年度で行った。更に、最終年度であるR4年度では、障がいのある子どもの保護者を対象としたアンケート調査を行って、未就学児と他年齢区分との比較検討を行った。 R2,R3年度において行った、前開きリフォームのオンラインを想定した動画及び作成マニュアルの検討、改善については、大学生を対象に一切対面での説明を行わない形で、オンデマンドで前開きリフォームを行ってもらった。R2で明らかとなった前立て布の変更や作成マニュアルの改訂によりR3年度では大幅に失敗が減少したことから、更に指摘のあった軽微な修正を行った上で、R4でも同様に学生対象の試作を行った。その結果、R3同様ほとんどの学生が問題なく前開きリフォームが出来ており、動画及びマニュアルの妥当性が示唆された。 また、R4年度では調査会社を通じて全国の18歳以下の子どもを持つ保護者約7万人を対象に調査を行った。スクリーニング質問により、子どもの身体に障がいを持ち、子ども自身での衣服の着脱が困難で、回答者自身が子どもの着替えの介助を行っている692人(有効回答者649人)より回答を得た。調査の結果、リフォーム経験がある人は未就学児、小学生が約5割いるのに対し、中学生、高校生ではやや低くなる傾向がみられた。リフォーム講習会に参加したい人は約4割で、未就学児は他年齢に比べやや少ない傾向がみられたが、有意な差はみられなかった。
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