研究課題/領域番号 |
20K02390
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
笹間 俊彦 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (80362896)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人間生活環境 / 情報システム |
研究実績の概要 |
研究計画では、深層学習による屋内生活状況とその推移の推定と、センサデータ収集の無線ネットワークの構築を予定していた。 前者については、屋内生活状況の中でも、場所を固定した上での人の行動の詳細がどの程度計測・推定できるかを明らかにすべく、1つだけではなく複数のセンサノードを1卓に集めた極端な状況を想定した実験を行った。数個のセンサノードがあれば、不在・着座・倒れている等の推定ができそうな事、当然ながら人感センサ(赤外線モーションセンサ)が大きく推定に寄与する事、しかしそれ以外の、一見して関連しないと思われるセンサのデータも推定精度に影響を与える事、おそらく時系列が推定精度に強く関わっており、同じ傾向のセンサデータ群であっても、直前のセンサデータ群の傾向から推定される状況が変わる事が判った。しかし、今年度はより広範な実験や解析には至らなかった。 後者については、無線ネットワークを構成し、データ収集を行うセンサノードの母体を安価なシングルボードコンピュータ(Raspberry Pi)へと変更する改良を行った。通信の安定化の為に、Zigbee通信をRaspberry Pi上のWiFi通信へ変更して利用していたが、センサ群はArudinoというワンボードマイコンで制御した上でRaspberry Piへとデータ転送していた。これは旧来のセンサノードの設計に由来するものだが、実は冗長な部分になる。その点の安定化と冗長部分の削除を目的として、Arudinoによる制御部分を全てRaspberry Piへと移植してArudinoを除いた。しかし、今年度はセンサノードの改良のみで、それを多数使用したネットワークの構築には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
深層学習による推定については、元となるセンサデータの実測値が想定よりもノイズが大きく、原因を実験環境やハードウェア面に求めて検討する等で時間を要した。結局、実測値をそのままでは使用せず、それを参考としたシミュレーション値による種々の実験に終始した。これは、ノイズの影響が無視できるかの検討も含めて必要な実験であったと考えるが、計画通りとはならなかった。次年度はハード構成を変更した新センサノードによる計測実験を予定している。 無線ネットワークの構築については、ハード構成を変更した新センサノードの構築に時間を要した。当初は制御部分の移植のみで、センサ群はそのまま使用する予定だったが、新制御部分であるRaspberry Piで汎用されているセンサ群の方が安定するのではという見込みがあり、センサ群も変更した。結果、新センサノードの試作までしか至らず、計画していたその量産と安定運用に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では、今年度で、どのレベルのどのような推定が得られるのかに目安をつけ、次年度に、その解析結果に基づいて、どのように利用すれば実用において有用となるかを検討する予定だった。 今年度の結果は、様々な想定状況のうちの極一部のみであり、更には実測に基づくものではなく、シミュレーションによるものとなる。かなり限定的な上に、まだまだ信頼性は低いものの、一応推定の目安は得られているとも言える。それに基づいた検討を計画通りに行い、それと並行して、今年度予定だった実測実験を行い、逐次的に解析結果を反映させて検討を重ねていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画が遅れ、複数の場所での多数のセンサノードによるデータ収集実験を行っておらず、それに必要となる無線接続機器(ルータ・AP)の購入を今年度は見送り、次年度へと回す為。
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